これからNDの足回りなどを見ていきますが、その前にまずジャッキアップについて。
さしあたって部品を変えたり修理をしたりする訳ではありませんが、それでもジャッキアップは必須の作業です。とりあえず写真撮影のために必要です。ここではいくつかのジャッキアップ形態をまとめておきます。
それから車いじりの常識ですが、ジャッキアップをする時(特に駆動輪側)は、設置しているタイヤに輪止めを忘れずにかけます。この時、1個だけでなく、どちらにも進まないように前後に2個かけます。
■ ボディシルのジャッキアップポイント
モノコックボディの乗用車の多くは、前輪と後輪の間のフロアパネルとサイドパネルの接合部に2ヶ所のジャッキアップポイントがあります。ここにジャッキを当てて持ち上げることで、タイヤ交換などを行えます。ジャッキアップポイントには、位置を示すためのくぼみが2箇所あります。
サイドシルのジャッキアップポイント
この部分はフロアパネルとサイドパネルをスポット溶接で接合するためにフランジ状になっており、ジャッキはこのフランジ部分を逃げるように溝を切ってあるものを使います。下に潜って作業をする際には、ジャッキで上げたあと、ウマ(リジッドラック)をかけますが、それもこのジャッキアップポイントを使います(整備工場のリフトも同様です)。上面が平らなウマを使うとこのフランジ部分が潰れてしまうので、溝を切ったゴムパッドを介して支えます。
実はNDでは、サイドのエアロパーツのプラスチック部品がこの部分に迫っており、ジャッキやウマを当てると干渉してしまい、プラ部品がちょっと変形します。まぁ外せばもとに戻るのでよしとしています。
パンタグラフジャッキによるジャッキアップ
一連の解説の最初の頃に触れたように、NDには標準では車載ジャッキは含まれていませんが、トランク内にパンタグラフジャッキの設置場所が用意されており、ディーラーオプションで(高価な)パンタジャッキが用意されています。これを買わなくても、KTCのPJ-06という600kgジャッキがぴったり収まります。ただしハンドルは分解式ではないので、車載工具袋には収まりません。
■ ガレージジャッキ
一般的なネジ式パンタグラフジャッキは操作が重いですが、油圧ガレージジャッキ(フロアジャッキ)を使えば楽に上げることができます。一般にガレージジャッキのサドル部は鉄の皿状なので、側面のジャッキアップポイントにかける際は、フランジ部を潰さないように適切な形状のアダプタやゴムパッドを使います。
ただしガレージジャッキはパンタグラフジャッキより背の高いものが多いので、そのままでは下にはいらないこともあります。僅かな差ではいらないという程度なら、もう一方(前なら後ろ、後ろなら前)をパンパジャッキでちょっと持ち上げることで、ガレージジャッキを入れられます。もちろん、はずす際にもパンタジャッキの応援が必要です。
小型のガレージジャッキを使ったジャッキアップ
■ フロントのジャッキアップ
フロント側を2輪まとめてをジャッキアップする際は、エンジン前部下のメンバー中央部にガレージジャッキをかけます。これはバンパー下の樹脂製カバーの後ろ、エンジン下部のアルミ製カバーの前のサスペンションメンバーです。前後方向の幅がさほど広くないので、ずらさずに当てないといけません。また中央部には後ろ側のアンダーカバーアルミパネルを止めるボルトがあるので、そのボルトと緩衝しないように位置を決める必要があります。
フロントのジャッキアップ
■ リアのジャッキアップ
リアのジャッキアップでは、デフ下にあるリアサスペンションのメンバー中央部にジャッキをかけます。
リアのジャッキアップ
■ スロープ等の利用
NDは車高が低めなので、ガレージジャッキの大きさ(背の高さ)によっては、ジャッキアップポイントの位置までジャッキを押し込めないことがあります。低床用や超低床用であればいいのですが、うちにあるのは昔ながらのものなので(買ったのは最近なのだけど、その時は4WDのジャッキアップしか考えてなかった)、フロントはエアロパーツに、リアはマフラーに当たってしまいます。
干渉してジャッキがはいらない
このような状況のために、スロープという高さをかせぐ用品が市販されています。ガレージジャッキで上げる際には、まず自走してスロープにタイヤを載せ、その後でジャッキを押し込むことになります。現在スロープが1セットしかないので、前後同時に上げることができません。
スロープに載せてからジャッキアップ
ジャッキと車体の干渉がわずかなら、別のジャッキでボディシル側のジャッキアップポイントをちょっと持ち上げて、ガレージジャッキを挿入することもできます。この場合、下ろす際に注意が必要です。そのままガレージジャッキを下げてしまうとボディに干渉します。車体に当たる前にボディシル側に再度ジャッキをセットし、車体が下がりきらないように支える必要があります。
■ リジッドラックで支える
ジャッキアップ後に下に潜って作業する場合は、ジャッキの落下事故を防ぐために、リジッドラック(ウマ)で車体を支えます。また倒れ止めのために接地しているホイールに輪留めもかけておきます。リジッドラックをセットする位置は、サイドシルのジャッキアップポイントです。ジャッキを使い場合と同様に、シルを潰さないように、溝のあるゴムパッドなどを介する必要があります。
サイドシル用のものと通常のもの
サイドシルのジャッキアップポイントにウマをかける