2020年06月24日

NDの下回りを見る −− 前側

 ジャッキアップしたところで、サスペンションまわりや床下を見ていきます。今回はエンジンの下側やフロントサスペンションを見ていきます。


■ フロント下部

 フロントサスペンションはサブフレームに取り付けられており、このサブフレームがボディモノコックに組み合わされます。このサブフレームにはエンジン部のアンダーカバーとなるアルミパネルが取り付けられています。エンジンオイルの下抜き、エレメント交換を行う際には、このパネルを取り外す必要があります。
 これはかなり厚いパネルで、取り付けボルトもしっかりしたものです。単なる整風目的でなく、ボディやフロントサスペンションの剛性強化の役割も果たしています。サブフレーム前縁より前、フロントバンパーまでの部分にもカバーがありますが、これは整風のためのもので、樹脂製のものがクリップで留められています

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  外したパネル


 補強パネルをはずすと、エンジンの下部を見ることができます。

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  前方向から見たエンジン下部。まわりを取り囲む黒い部品がサブフレーム

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  助手席側。オイルパン、ミッション、スターター、クラッチレリーズシリンダー

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  前輪とエンジンの位置関係がわかる

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  運転席側。オイルフィルター、エグゾーストマニホールド下部


■ ミッション周辺

 エンジンの後ろにはトランスミッションがあります。エンジン下部のサブフレームに取り付けられたアルミパネルの後ろにちょっと隙間があり、ここにクラッチハウジングが位置します。海外モデルではこの部分にもカバーがあるという話です。クラッチレリーズシリンダーはこの位置にあります。

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  エンジンとミッションの結合部

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  レリーズシリンダー。その横の配管は燃料とブレーキ


 その後ろ、ミッションの真下にフロアトンネルの左右を結合するメンバーがあります。AT車とMT車ではミッションの大きさが違い、そのためボディのフロアトンネルの大きさも違うようで、この補強材はAT車にはなく、MT車のみ(Sグレードは除く)の装備です。
 このメンバーはボディ補強の役割があります。通常はこの位置のメンバーでミッションを支えるのですが、NDではこの部分はミッションと結合していません。ミッション後部はパワープラントフレームという縦梁部品に固定され、それがデフまで伸びています。駆動ユニット、つまりエンジン−ミッション−パワープラントフレーム、デフが一体に結合されており、これがエンジン部とデフ部のマウント部品でボディに固定されるという形になっています。
 ミッション下のメンバーの少し後ろに、交差した形状のアルミ製補強材があります。ディーラーオプションで、さらにボディ下部を広範囲で結合する補強パーツも販売されています。

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  補強材


 上の写真は後ろ側からみたところで、パワープラントフレームと排気管が見えます。プロペラシャフトはこれらの上を通っており、下からはほとんど見えません。排気系の手前側がサブマフラー、ミッションの横にあるのが触媒です。運転席の左足元の大きな膨らみは、この触媒を収めるためのものです。


■ フロントサスペンション

 前輪はダブルウィッシュボーンサスペンションです。上下のアームはアルミ合金製です。ナックルアームも含めてアップライトもアルミ合金製で、上下がボールジョイントで取り付けられています。

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  前側から見たフロントサスペンション

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  後ろ側から見たフロントサスペンション


 ロアアームのボディ側支点の後ろ側は、後方に大きく伸びています。これは前輪に制動力が掛かったときに、ゴムブッシュの変形によって前輪が後ろにオフセットするのを減らす効果があるのかもしれません。一方、アッパーアームはこのような後ろ側への大きな突っ張りはありません。

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  アッパーアームとスプリング/ショック

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  ロアアーム

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  上から見たアップライト


 スプリング/ショックアブソーバーは一体型で、中央のショックの周りにスプリングが取り付けられた構造です。競技用ベース車のNR-Aは、下側のスプリングシートの位置を変更できるようになっていて、車高を変えることができます。その他の車種は、位置変更はできません。
 スプリング/ショックの下端はロアアームに取り付けられており、その上部はフェンダー内部のボディパネルに固定されます。

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  タイロッドとナックルアーム、ショック取付部


 ステアリング機構は、エンジン前縁のちょっと前、中央部にラックアンドピニオンのギヤボックスがあります。これは電動パワーステアリングになっており、ハンドルにつながるステアリング軸のギヤとは別に、モーターのギヤでラックを左右に動かすようになっています。
 スタビライザーも前側に位置し、短いリンクを介してスタビライザーとロアアームがつながっています。

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  後ろ側から見たショック、スタビリンク取付部


 パワーステアリング機構、スタビライザーの左右をつなぐロッド部分は、アンダーカバーより上側に配置されており、カバー下には出ていません。
 フロントのブレーキはごく普通のベンチレーテッドディスクで、キャリパーはシングルピストンの片押しタイプです。一部車種、グレードでは、ブレンボブレーキを選択できます。これだと対抗4ピストンとなります。

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 フロントブレーキとハブ


 ディスクブレーキのローターには2種類のサイズがあり、モデルやグレードによってサイズが異なります。2.0LのRFと1.5LのRS、NR-Aが15インチの大径タイプ、SSPは14インチの小径ローターとなります。しかしサイズに関わらずバックプレートは共通のようで、小さいローターだとプレートとサイズが合わず、ちょっと悲しいものがあります。
 アップライトにはABSのための回転速度センサーがついており、その配線がアップライトまで伸びています。

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  フロントブレーキ用のABSセンサーの配線


 フロントのハブベアリングは、ハブ(回転する部分)とベアリングが一体化されており、ベアリングだけ交換することはできません。つまりベアリングを交換する場合はハブごと交換することになります。

posted by masa at 07:47| 自動車