2019年04月05日

Y61サファリのエアコンの調子が悪い

■ グゴンッという異音

 しばらく前(2017年秋?)、エアコンの効きがいまいちということで、定期点検の際にディーラーでガスチャージしてもらいました。その後しばらくしたら、エンジン始動時にコンプレッサーから異音が出るようになりました。グゴンとかギギッという感じで、どうもエアコンがロック、あるいは異常に回転が重い状態になっている感じです。ただこの状態は1秒もかからずに解消するようで、以後は普通に動作します。また一度うまく動いてしまうと、エンジン再始動の際には異音は出ません。2日程度間をあけるとだめなようです。
 これと関係があるのかないのか、車内のエアコンコントローラーのACボタンのLEDも点灯したり点灯しなかったり。さて、どにかなるのでしょうか?


■ コンプレッサー本体のトラブルでないことを祈る

 そもそも最初は、コンプレッサーかどうかもわからなかったのでした。のんびりといろいろためしたあげく(なんせ中1日あけないと実験ができない)、AC Offで始動すると異音は出ず、その後、Ac Onで異音がすることから絞り込んだのでした。でもAC Offでエンジンを回し、暖気できた頃にOnにすると異音がしないという。。。
 きっとコンプレッサーだよなぁ、内部の摩耗とか傷だろうなぁなどと思いつつ、もっと安い部品ならいいなぁということで、ACベルトのテンション調整用のアイドラプーリーを調べることにしました。


■ アイドラプーリーを取り外す

 コンプレッサーはエンジン左側(前から見ると右)のかなり下のほうに取り付けられており、アイドラプーリーはそのベルトの上側にあります。上からアクセスしようと思っても、ファンやPSベルト/ポンプなどがあるため、うまく手が届きません。
 この写真のピントが合っていない部分がPSベルトとプーリー、奥側のプーリーがコンプレッサーの物、そのベルトの向きを変えているのが(見えないけど)アイドラプーリーです。

ph-01.JPG
上からはほとんど見えない

 上からは手が届かないので、タイヤハウス側から作業します。タイヤハウス内のゴムのカバーをはずすと、ちょうどコンプレッサーまわりに手がはいるようになります。

ph-02.JPG
ゴムカバーをはずす

ph-03.JPG
コンプレッサーとアイドラプーリー


 プーリーは前側から締める固定ナットと上側から回すテンション調整ボルトがあり、上側をゆるめ、固定ナットを取り外します。

ph-04.JPG
取り外し


 プーリーと共締めされている自転車のベルのような部品はダストカバーです。ベアリングはラバーシールタイプで、水やホコリなどが内部にはいらないようになっていますが、このカバーにより、飛沫などが直接ベアリングのシール部に当たらないようになっています。

ph-05.JPG
プーリーとダストカバー

ph-06.JPG
プーリー


■ ベアリングの交換

 ベアリングを回してみると、ロックはしていないものの、多少ゴリゴリ感があり、寿命は近そうです。アセンブリで取り寄せるといい値段なので、ベアリングだけ汎用品と交換します。交換したのは6301DDUというタイプで、内径12mm、外径37mm、両側接触ゴムシールというタイプです。

ph-07.JPG
プーリーと新しいベアリング

 ベアリングはプーリーに圧入されているので、パイロットベアリングプーラーで抜き取ります。プーリーの形状から、うまくプーラーの脚を支えられないので、Vブロックをかまし、プーリーが変形しないように抜きます。

ph-08.JPG
ベアリングの抜き取り

ph-09.JPG
Vブロックをかます

 新しいベアリングを圧入します。これは古いベアリングを当金として使い、万力で挟んで行いました。万力による圧入は、ちゃんとアゴの平行が出ているものでないと、うまくいかないことがあります。写真の万力はJISマーク入りの高級品なので、問題はありません。

ph-10.JPG
ベアリングの圧入

 あとは、このベアリングを元通りの位置に取り付け、ベルトの張り調整をして固定します。


■ コントローラーのイルミネーションランプ交換

 コントローラーはAC LEDの不点灯とは別に、イルミネーションも半分くらい切れており、夜間の操作に支障があったので、これも直します。

ph-11.JPG
取り外したコントローラ

 この時代(2003年製造)だと、インジケータ類はLEDですが、この手の照明はまだ電球です。これらのランプは、コントローラーを分解しなくても、外部から脱着できる構造になっています。バヨネットタイプなので、ちょっとひねってはずし、差し込んで逆向きにひねればOKです。

ph-12.JPG
表側は2ヶ所(+部がランプの底部分)

ph-13.JPG
裏側は4ヶ所

ph-14.JPG
外したランプ(長さが2種類ある)

ph-15.JPG
新しいランプ

 球切れは半分程度ですが、またやるのも手間なので、すべて新品に交換しました。


■ LED不点灯問題

 ACスイッチを押してもLEDが点灯しないという問題、コンプレッサーの不具合により点灯しないのかと思っていたのですが、実は原因は単純で、基板間コネクタの接触不良でした。実はACだけでなく、DEFモード、外気導入などのLEDも点灯しなかったのです。
 このコントローラー、メインのロジック基板とフロントパネルのスイッチ、LED基板に分かれています。

ph-16.JPG
内部の基板類

ph-17.JPG
2枚の基板の組み合わせ

 スイッチ類の配線は、ちゃんとしたコネクタで接続されているのですが、LEDについては、割と安直なピンヘッダで接続されています。

ph-18.JPG
LED接続部

ph-19.JPG
LEDコネクタ

 このLEDコネクタをアルコールできれいに洗浄して組み立てたら、すべてのLEDがちゃんと点灯するようになりました。要するに、経年劣化による接触不良ということでした。


■ さて、結末は

 コントローラの問題はとりあえず解決したものの、問題はコンプレッサー異音です。結論からいうと、異音はプーリーではありませんでした。まぁベアリングの状態から予想はしてたけど。
 結局、間をあけた時の始動時の異音は変わらず。始動時はACを切っておくという対処で乗り切っています。後日ディーラーで点検したときには、コンプレッサーの振動が多いということで、やはり寿命が近いものと思われます。。(涙)
 またLEDの不点灯ですが、冬場、ずっとACを使わなかったところ、春になったらまた不点灯になっていました。もう接点の表面処理がやられているんですかね。もう少しまじめな対処が必要なようです。

posted by masa at 08:25| 自動車整備

2019年03月07日

サファリのリアデフのブリーザーホースの修理

 Y61サファリのショックの交換でリアをジャッキアップした時、デフケースからアホ毛のようにホースが生えていました。デフケースの最上部に取り付けられたホースは、先端がどこにもつながっておらず、ぶらぶらしていました。先端を見ると、腐食して破断した金属パイプが見えます。とりあえずブラブラしているのはなんなので、リアデフのLSPV用のブラケットにインシュロックで仮止めしておきました。

仮止めしたホース
01-clip.JPG

■ ブリーザーホース

 このホースはリアデフケース用のブリーザーホースです。
 デフに限らず、車の各部のギヤボックスの軸の露出部分は、内部の潤滑油が外に漏れず、また外部から水が浸入しないように、オイルシールという部品で密閉しています。これはゴムのリップがリング状のスプリングで軸に当たるという構造になっています。一般的なオイルシールは大きな圧力差に耐えられるようにはできていません。ギヤボックス内と外部の間で圧力差があると、リップのゴムと軸の間に隙間があいて、内部の油が外に漏れたり、あるいは外部から水が浸入します。
 ギヤが回転すると温度が上がり、内部の気圧が高くなります。また冷えると気圧が下がります。このような圧力変化で漏れが起こらないように、ギヤボックス内の圧力を外部の気圧と同じに維持するための開口部があります。もちろん、ここから水が入っては意味がないので、水などがはいりにくいように工夫されています。この圧力調整用の開口部のことをブリーザー(Breather)といいます。Breathは呼吸という意味です。空気が出たり入ったりするからでしょうね。
 一般的な乗用車などでは、ギヤボックスの上部に短いパイプを取り付け、外部から水が入りにくいようにキャップが取り付けられています。このキャップは跳ねかかった水などの浸入は防ぎますが、空気は出入りできます。
 サファリのような車両は深い水たまりを走ることができますが、このような走行はギヤボックスに水がかかるだけではなく、水没してしまうので、簡単なキャップだけでは浸水することがあります。走行中のギヤボックスは温度が上がっていますが、水中にはいると温度が急激に下がり、内部の気圧が低下します。これによりブリーザーから空気を吸い込むのですが、深い水たまりなどでブリーザー部分まで水没していると、空気の代わりに水を吸い込んでしまいます。
 これを防ぐために、サファリのデフケースのブリーザーはホースで伸ばされています。フロントデフはエンジンルームの上部まで伸びており、通常の走行では水に浸りません。リアデフはフレームのクロスメンバーパイプ内に伸びています。このパイプはさほど高い位置ではありませんが、構造的に水が入りにくくなっているので、通常の水たまり走行では水を吸い込むことはありません。
 このメンバーのパイプにホースを差し込むための部品が錆びて破断してしまったため、ホースがぶらぶらしていた訳です。

リアデフのブリーザーホース
02-.JPG

■ デフケース側

 ブリーザーホースはデフケース内の空気の出入りのためのものなので、当然デフケース最上部にあります。ここにL字に曲がったパイプ部品をねじ込むようになっています。

パイプ部品
03-pipe.JPG

■ フレーム側

 ホースのつながる先は、リアアクスルのちょっと後ろ、燃料タンクの前に位置するメンバーです。このメンバーは丸パイプをちょっと曲げた形状になっていて、その上側にデフケース側と同じ部品がねじ込まれています。この部品のパイプ部が腐食で破断していました。
 この部分はアクスルの影になって、足回り洗車でもほとんど水がかからない場所のようです。泥や凍結防止剤などがきれいに流れず、それが原因で腐食したのでしょう。

メンバー側の取付部
04-member.JPG

アップで
05-member.JPG


■ 部品の手配

 まずは部品の手配です。L字パイプがついたねじ込み部品とホースを固定するクリップを用意します。デフケース側の交換も考え、2セット用意しました(今回はメンバー側のみ交換しました)。

部品
06-parts.JPG

■ 古い部品の取り外し

 写真ではジャッキアップしてウマでフレームを支え、その後ホイールを外してアクスルを目一杯下に下げていますが、実際にはジャッキアップせず、そのまま下に潜って作業できました。

ジャッキアップ
07-jack.JPG

 さて、錆びて破断した部品です。素直には外れません。最初、ラチェットメガネで外そうとしたのですが、これが12角タイプで、ナット部の角を少しなめてしまいました。その後フレアナットレンチを使ったものの、やはりなめそうです。ラスペネでもだめ。
 結局、ショック交換時の固着ナットの取り外しに使った冷却浸透スプレーのお世話になりました。作業が寒い時期だったので、まずヒートガンで温め、スプレーをたっぷり吹き、さらにトンカチで軽く叩いて衝撃を与えるという作業を2回くりかえしました。フレアナットレンチでは角がなめてしまうので、より強く加えられるバイスグリップを使いました。
 これでどうにか緩みました(実際には秋に作業を始めて、何度か挫折し、冬に交換となりました)。

取り外した部品
08-oldparts.jpg

 この部品は写真をよく見るとわかりますが、テーパーネジになっています。部品には向きがあるので、向きを合わせるため、きつめに締められていたのかもしれません。

■ 新しい部品の取り付け

 フレーム側のネジに損傷はないので、新しい部品をねじ込みます。一応液体ガスケットを塗布しておきました。テーパーねじは締め込み終わりという位置はなく、どんどん締めることができますが、過大トルクで締めると緩まなくなってしまいます。これを適度なトルクでホースを取り付けられる角度にします。今回は最初に手で締めて、その後、ちょうどいい位置までフレアナットレンチで1回転弱締め込んでよしとしました。
 これにデフからのホースを差し込み、クリップで固定しておしまいです。

出来上がり
09-finish.jpg

10-finish.jpg
タグ:Y61サファリ
posted by masa at 01:36| 自動車整備

2018年08月27日

ウインチを整備する その5

 前回までで、ギヤボックスとドラムができあがりました。今回はモーターを組み立て、ウインチを車に取り付けます。


■ モーター整備

 モーターは正常に動作するし、運転時間も15年でせいぜい10分程度なので、ブラシの摩耗の心配はありません。しかし軸受はどうにかしたいところです。現在のWARNのウインチはモーターの軸受はボールベアリングですが、この時代のモーターは、ブラシ側がメタル軸受なのです。せっかくウインチを降ろしたので、モーターも分解してここに給油することにしました。そうしたら内部の腐食がひどく、ばらしてみて正解でした。
 モーターは内部のサビを軽く落とし、サビ転換剤で処理します。接合面のサビはしっかり落とし、鉄の地肌を出しておきます。あとは整流子まわりを目の細かいサンドペーパーで軽く磨きます。
 組み立ては、まずケースに回転子をはめ込みます。ブラシを適当なパイプなどで引っ込めておき、回転子をはめ込みます。この状態で、ドラム軸受にモーター軸を差し込み、ケースを載せます。最後にブラシホルダーにサーモスタットを組み込み、キャップをはめます。

回転子を挿入
1045-motor-.JPG

ドラム軸受に取り付け
7300-asmMotor.JPG

キャップを取り付け
7310-asmMotor.JPG


 ドラム軸受、モーター界磁、キャップは、2本の長いボルトで固定されます。この時、接合部にはガスケットが使われておらず、長年の放置で継ぎ目から水が染み込んでいました。特にドラム側がひどく、ドラム軸受側のダイカストの塗装ははがれ、モーター側にもサビがでていました。ブラシ側も接合部に水の侵入が見られ、もう少し放置しておいたら、モーターが回らなくなっていたかもしれません。かつて同じ形式のウインチを積んでいたJeepでは、しばらく使わなかったら、漏った水で軸受が固着し、動かなくなったことがありました。
 そこで今回は防水を意識して組み立てることにしました。ドラム側には底部の水抜き穴以外に、側面に位置する水抜き穴(垂直面にマウントしたときに下部になる)と、モーターを90度回展させて取り付けるためのボルト穴(ドラムのツバの裏側が開口部としてあります。雨中の走行でこれらの穴から水が侵入したと思われるので、一番底になる水抜き穴以外を塞ぎます。そして組み立てに際しては液体ガスケットを塗布し、接合面から水が浸入しないようにします。不要な穴は、試運転が済んだ後、適当なシール剤で塞ぎます。

開口部の位置
1090-motor.JPG


 ブラシ側は、キャップ側に段差があり、多少は水がはいりにくいようになってはいるものの、過去にJeepで水浸入で動かなくなったことがあるので、液体ガスケットを塗布して組み立てます。
 軸部に潤滑油をつけ、ブラシ側のキャップを取り付ける前に、軸受メタルの奥にある不織布のパッドに、十分に潤滑油を染み込ませておきます。この種のメタルに適した油の種類や粘土はわかりません。あまりサラサラのものだとすぐに無くなってしまいそうなので、今回はエンジンオイルを使ってみました。まぁ数年は持つでしょう(さすがに15年たった状態では、ほぼ乾いていました)。またこの油がブラシ部分に回らないように、モーター軸にファイバー製のワッシャーがはいっています。組み立てるときはこれを忘れないようにします。

キャップ
1080-motor.JPG

 キャップを取り付けるときには、サーモスタットを先に取り付けます。サーモスタットの接触面に熱伝導グリースを塗布し、ブラシ横のクリップにはめます。電線が短いのでちょっとやりにくいですが、困難というほどのものではありません。
 最後に長いボルト2本でキャップとケースをドラム軸受部品に固定します。このボルトは、1本は界磁コイルの間を通り抜けるだけですが、もう1本はアース側でないほうのブラシ配線のすぐ横を通ります。配線はチューブで絶縁されていますが、差し込むときにこの配線を傷つけないように注意する必要があります。
 電気機器を整備する場合、ショートしていないかをチェックするのですが、モーターのような機器では、これが簡単ではありません。巻数の少ないコイルは抵抗値が限りなく0Ωに近いため、ショートしていてもわからないのです。
 このウインチ用のモーターの場合、界磁コイルは逆転のために極性を変えられるようになっているので、モーターケースからは絶縁されています。テスターでチェックする場合は、ターミナルF-1F-2の間に導通があり(ほぼ0オーム)、ケースとの間には導通がないというのが正常な状態です。
 回転子側は、片方がケースを介してアースに落ちているので、組み立てた状態ではケースとターミナルAの間は導通があります(ほぼ0オーム)。ブラシまわりのショートのチェックは、モーターを組み立てる前、電機子をはめていない状態で行います。この時はターミナルAとケースの間に導通があってはいけません。ターミナルAとブラシ2個の間は0オーム、残り2個のブラシとケースの間が0オームとなります。ただしブラシがスプリングで飛び出していると、ブラシどうしが接触している場合があるので、ブラシが離れていることを確認してチェックします。
 回転子は、個々の整流子片の間に導通がありますが、軸などの金属部分とは導通があってはいけません。
 モーターの測定では、テスターでは導通なしとなりますが、実際に絶縁抵抗を測ると抵抗値が得られます。手元にある絶縁抵抗計を使って測定したところ、界磁コイルとケースの間が約500kΩ、Aターミナルとケースの間も約500kΩでした(絶縁抵抗計はテスターよりも高圧をかけて抵抗を測定します)。動作電圧は12Vなので、実際問題としては数キロオーム以上あれば問題はありません。

絶縁抵抗の測定
7350-asmMotor.JPG


 コイルの抵抗はほぼ0オームなので、コイルがショートしていもテスターではわかりません。電流を流したら煙を吹いたといった状況で、初めてショートとわかります。しかし別の測定器を使うとショートを調べることができます。LCRメーターを使うと、コイルのインダクタンスを測定できます。健全なコイルのインダクタンスがわかっていれば、コイルのショートをある程度判定することができます。コイルがショートするとインダクタンスが低下するからです。我が家のモーターのインダクタンスは、界磁コイルが12.1μH、回転子(Aとケースの間)が9.9μHでした。ちなみに、ソレノイドのインダクタンスは3.2mHでした。

LCRメーター
7360-asmMotor.JPG


■ 全体の組み立て

 ここまでできたら、ギヤボックス、ドラム、モーターを組み合わせて2本のパイプで接続することができます。
 分解のとき、金属棒のボルトを折ってしまったので、この金属棒は作り直しました。オリジナルはアルミ合金のようでしたが、S55Cミガキ鋼棒から作りました。直径16mm、長さは226.5mmで、両端にボルトで止めるためのネジを切ります。もともとインチネジが使われていましたが、作り直したほうは8mmのボルト(六角部12mm)です。

鋼棒を加工
7500-pipe.JPG

製作した金属棒
7510-pipe.JPG

ドラム軸受とパイプ
7520-pipe.JPG

ドラムが回転することを確認
7530-pipe.JPG


 このパイプを使ってウインチ全体を組み合わせます。ギヤボックスに六角シャフトを差し込み、ドラムをギヤボックス側にはめます。モーター側は、モーター軸にカップリングを差し込み、これがドラム内のブレーキユニットにはまるようにしながらドラム軸受をはめ込みます。ドラムのブッシュの部分は、水の浸入を防ぐために、たっぷりとグリースを塗布しておきます。

ギヤボックス側
7600-test.JPG

モーター側を接続
7800-asm.JPG

組み上がり
7820-asm.JPG


 あとはリレーボックスの配線を接続し、バッテリーをつないで動作試験をします。

アース線を接続
7830-asm.JPG

リレーボックスを仮接続
7840-asm.JPG


 リレーボックスには、コネクタ配線を接続します。
 リレーボックスの電源は、車体側とつながる2Pコネクタで供給されます。Acc電源の12Vと、コネクタ接続時にこの12Vをメインソレノイドリレーに送り返すので2極なので、コネクタが接続されていれば、どちらに12Vを供給しても動作します。アース側はリレーボックスの金属部分です。この2箇所にミノムシケーブルで電圧をかけます。ミノムシケーブルの反対側はモーター用のブースターケーブルのクリップ部分につないでおきます。リレー回路は、ウインチのモーターに比べれば微々たるものですが、それでも7Aは流れるので、あまり細い電線は使えません。
 モーター電源はブースターケーブルを使って、モーターのアース電線をバッテリーのマイナス端子につなぎます。プラス側は、ソレノイドのプラス電源が接続されていた銅板のバスバー(リレーボックスのAターミナルにつながっていない側)に接続します。これで、コントローラを接続し、スイッチを操作すればウインチが動作します。コネクタのケーブルとモーターのサーモスタットの接続部分は分解時に切断したので、ここはギボシ接続にしてあります。このギボシを接続していないと、サーモスタット作動中と同じように回路が切れてしまうので、巻取り側が回転しません。またこのとき、コントローラの警告LEDが点灯します。したがってギボシを外した状態でスイッチを巻き取り側にすれば、モーターが回転せず、LEDが点灯することを確認できます。

バッテリーに接続
8000-test.JPG

クランプメーターで電流を測定
8010-test.JPG

約100A
8020-test.JPG

 また、モーターオフの際に一瞬LEDが点灯することがあります。これはソレノイドの逆起電力によるものでしょう。
 実際に使い古しの135D31バッテリー(CCA実測値は500)で動作させたところ、約100Aの電流が流れました。このときのバッテリー端子電圧は約10Vでした。これにはソレノイド駆動電流7Aも含まれています。現行製品とはモーターが変わっているので比較できませんが、現行品(80A)よりちょっと多いようです。


■ ウインチベッドとローラーフェアリードの組み立て

 ウインチを降ろしたので、ベッドのほうもきれいにします。ベッドはサビを落として塗装しました。
 製品版のM8000は、ウインチ本体と、ボルトで取り付けるローラーフェアリードかハウスフェアリードから構成されますが、サファリの純正ウインチの場合は、ベッドにローラーフェアリードが直接組み込まれています。
 フレームからベッドを取り外し、ローラーを外します。ローラー軸は両端にスナップリングがはめられており、これを外すと軸が抜けるのですが、ここでも問題がありました。左右のローラー(垂直軸)の内部で軸が錆びて膨らみ、抜けにくくなっていました。実は何年か前に同じ部分を分解したことがあり、そのときもサビがひどく、叩いて抜いたのです(このとき、ブッシュのツバが壊れました)。そのときにグリースをたっぷり塗って組み立てたのですが、どうも縦軸は水がはいって錆びるようです。

分解したウインチベッド
6090-bed.JPG


 ローラーは軸に対して滑らかにまわるように、パイプの両端に樹脂製のブッシュがはめられています。樹脂ブッシュは基本的に無潤滑でいいのですが、油分がないと軸のほうが錆びてしまいます。これを防ぐために、以前分解した時は防錆のためにグリースを塗布して組み立てました。結局それでもだめだったので、今回は強硬策に出ます。内部の空間が完全にグリースで満たされれば、錆びることはなくなります。そこで軸にグリース給脂のためのニップルを取り付けることにしました。
 軸の中央付近に直角方向に貫通孔を開けます。そして軸の端部から中央部分まで穴をあけます。これで端部からローラー内部へのグリース流路ができます。端部はブリースニップルを取り付けられるようにネジを切ります。

ニップルを取り付けた縦軸
9010-bed.JPG


 水平軸は普通にグリース塗布だけでサビは発生しなかったので、この加工は行いません。


■ 車両への取り付け

 まず、ウインチベッドをフレーム前端に取り付けます。ウインチベッドの固定ボルトに取り付けられたステーは、鉄バンパーの取付部なので、このボルトは鉄バンパーを取り付けるまで、仮締めにしておきます。
 ウインチを取り付ける前にコネクタハーネスを取り付けるのですが、これのコネクタがローラーフェアリードの水平軸のそばなので、先に水平ローラーを取り付けておきます。防錆のために軸にグリースを塗布し、スナップリングで固定します。ワッシャーが10個ほど使われていますが、厚さが3種類あり、どこにどれを使うのかを事前に確認しておきます(最初に分解した時に記録していなかったのです)。フェアリードはプレス部品なので、多少の製造誤差があるようで、ローラーがうまく回るように配置します。

ローラー部品
9020-bed.JPG

水平ローラーの取り付け
9030-bed.JPG


 次にコネクタ用ハーネスを取り付けます。これはウインチの背後を回っているので、ウインチ取り付けより先にやっておいたほうが作業が楽になります。コネクタはフェアリードの向かって右に取り付けます。このとき、紛失防止用ワイヤーもいっしょに止めておきます。

コネクタの取り付け
9040-bed.JPG


 試しにウインチを載せてみました。

ベッド上のウインチ
9050-bed.JPG

9060-bed.JPG


 実際にウインチを取り付ける前に、リレーボックスとモーターを接続します。電線が長くないので、後から接続するのは面倒なのです。このとき、電線の取り回しの調整が必要です。リレーボックスを正規の位置に取り付けたときに、モーターに行く3本の電線に無理がかからず、なおかつ周辺の部品に当たったりしないように、ターミナルに取り付ける角度を調整します。

ウインチを取り付け(リレーボックスの取り付けを誤っている)
9070-bed.JPG


 電線の配置がおおよそ決まったら、リレーボックスがつながった状態のウインチをベッド上に起き、板ナットとボルトで固定します。リレーボックスはウインチベッド前縁にボルトで固定します。部品の大きさや必要な強度に対し、妙に太いボルトで取り付けられています。この取付でアースが接触しなければならないので、取付後、アース回路の導通を確認しておきます。
 実はここで失敗しました。整備書通りに、ベッドより前側にリレーボックスのステーを取り付けたのですが、この状態では鉄バンパーがリレーボックスに当たってしまい、取り付けられませんでした。リレーボックスステーをベッドの裏側になるように固定すれば、干渉しなくなります。普通なら、部品についている取り付け跡でわかるのですが、このあたりはすべて塗装してしまったのでわからなくなっていました。
 コントローラーコネクタからのハーネス、バッテリー母線の太い電線、Acc電源/メインリレーのコネクタを元通りに接続すれば配線は完了です。ケーブルをうまくさばき、コルゲートチューブなどで適宜保護、固定します。リレーボックスにカバーを取り付ければ、ウインチ本体の装着は完了です。

リレーボックスの配線
9080-bed.JPG

カバーを取り付け
9090-bed.JPG


 塗膜と共に剥がれてしまった各種のシールを貼り付けます。シール裏に残った古い塗装を軽く落とし、合成ゴム系の接着剤で貼り付けました。耐候性の薄手の両面テープがあればそれがよかったのですが、あいにく手元にありませんでした。まぁ、剥がれても実害のないものですし。

シールの貼付 9100
9100-bed.JPG


 ローラーフェアリードの縦軸のローラーも取り付けます。グリースを塗布してスナップリングで軸を止めたあと、内部の隙間をなくすためにグリースガンでグリースを給脂します。

取り付け完了
9105-bed.JPG


 あとはワイヤーを巻取り、フックを取り付けます。フックはピンを挿した後、割りピンで止めるだけです。最後まで巻取り、フック押さえを取り付ければウインチ回りの作業は終わりです。
 ローラーの塗装は、予想したとおり、1回ワイヤーを通しただけでボロボロになりました(笑)。

ワイヤーを巻き取る
9110-bed.JPG

フックの取り付け
9120-bed.JPG

フック押さえ
9130-bed.JPG


 あとはバンパーまわりを元通りに取り付けます。鉄バンパーを取り付けたら、忘れずにステーとベッドを共締めしていたボルトを本締めします。あとはプラスチックバンパーを取り付け、外した部品を元に戻しておしまいです。

バンパーの取り付け
9200-bed.JPG

出来上がり
9210-bed.JPG


■ ウインチのアクセス性の向上を考える

 この純正ウインチ、ちょっと考えておきたいことがあります。純正ウインチは、きれいにバンパー内に収納されますが、そのおかげでウインチ本体にはほとんど触ることができません。ワイヤーのマスター巻の際などは、ドラムを見ながら、場合によっては手でワイヤーを整えながらやりたいところですが、これができません。
 現状では、バンパー上部に小さなのぞき窓(一応、ドラムが見える)しかありません。
 バンパーを加工すればいいのですが、どうしたものか考え中です。内側の鉄バンパーは2段になっていて、フェアリードの上部、そしてさらにその上とのバンパー上面に分かれています。この2段のうち、どちらかを切り取ってしまえば、多少はアクセスがよくなります。その上にプラスチックバンパーがかぶりますが、一部を切って取り外し可能にするか、蝶番で跳ね上がるようにするか。。。
 溶接ができれば、幅のある部分を棒材や細いアングルに入れ替えるといった加工もありなのですが、残念ながら我が家には溶接設備がありません。
 さて、どうしたものでしょう。


■ フェアリードについての小ネタ

 ウインチのワイヤー繰り出し部のガイド部品のことをフェアリードといいます。fairleadはロープやワイヤーを繰り出す際にワイヤー類を傷めず、滑らかに動かすためのガイドで、もともとは船舶の係留ロープなどのための部品の名称のようです。
 ウインチの場合は、ドラムに対して直角以外の方向に牽引する際に、ワイヤーに無理な力がかからないようにガイドする部品で、回転するローラーを上下左右に4本配置したローラーフェアリードが広く使われています。別の形式として、回転部分を持たない単純なガイドもあります。これは金属ワイヤーにも使われますが、最近はやりの非金属ワイヤーでは、こちらのタイプがよく使われているようです。
 ところで、ローラー式でないフェアリードの名称ですが、一般にはハウスフェアリードと呼ばれています。
 調べてみたらこのハウスの綴りはhawseで、辞書で引くとホォーズが近いようです。そして意味は、錨鎖孔となっていました。船の錨の鎖を通すための、船体の船首部の穴です。この部分は大荷重のかかる鎖を通すため、鋳鉄製の丈夫なガイド部品が使われています。確かに用途としては同じです。ところでこの錨鎖孔のことは、日本では一般にホースパイプと呼ばれています。
 ハウス、ホース、ホォーズ、ホーズ、、英語を日本語にすると、発音や綴りやらがいろいろ組み合わされて、用語ごとに違う表記になることがよくあるのですが、これもそのパターンのようです。ちなみに、ホーズパイプはあるのかなと調べたらありました。どちらかというとホーズという表記のほうが正式なようで、役所などの文書ではホーズパイプが使われている事例があります。ただ数の上では圧倒的にホースパイプでした。
 用語の表記の分布を調べる場合、Google検索の件数というのがありますが、おおよそ次のようになりました。

ハウスフェアリード 約150万件
ハウズフェアリード 約2万件
ホースフェアリード 約116万件
ホーズフェアリード 約16500件

ホースパイプ 船  212万件
ホーズパイプ 船  105件

 元の発音に従えば、一番近いのは錨鎖孔にしろウインチにしろホーズということになりそうですが、実際には濁らないホースのほうが圧倒的に多いようです。正しさの度合いでは、ホーズ>ホース|ハウズ>ハウスでしょうか。一番近いのはたぶんホーズフェアリードなのでしょうが、この検索結果を見ると通用しない可能性が高そうです。
 また、かつてはほとんど聞かなかったホースフェアリードがハウスフェアリードに近い数であることにけっこう驚きました。自分が4WDに興味を持ち始めた1980年代は、ローラーフェアリードのほうが高級品とみなされていました。そのためほとんどの輸入ウインチはローラーフェアリードが組み合わされていました。ハウスフェアリードはメーカーのラインナップにはあったものの、ほとんど国内では見ませんでした。
 最近は非金属のシンセティックロープが広く使われるようになっていますが、こちらは樹脂やアルミ製のハウスフェアリードが使われているようで、それで非ローラーフェアリードが復権したのでしょう。この際、昔のハウスフェアリードを知らない人が、正しく?ホースという音を当てたのかもしれません。


posted by masa at 03:18| 自動車整備

2018年08月26日

ウインチを整備する その4

 家で行った実際のウインチの分解整備について説明します。なおこの解説はモジュールごとに書いており、実際の組み立て順序とは一致していない部分があります。


■ バンパーを取り外す

 ウインチはウインチベッドという台座に取り付けられています。これは車両のフレーム前端にボルト止めされています。問題は、このウインチとウインチベッドは、完全にフロントバンパーの中に収まっているということです。
 Y61サファリのバンパーは、普通のプラスチックバンパーなのですが、内部に鉄板のバンパーが組み込まれています。従ってウインチベッドやウインチを取り外すには、まずこのバンパーブロックを外す必要があります。
 作業の内容は次のようになります。

・フロントグリル取り外し
・タイヤハウス内のプロテクター取り外し
・フォグランプ取り外し
・ヘッドライトウォッシャーホース切り離し
・ナンバープレート取り外し
・プラスチックバンパー取り外し
・鉄製バンパー取り外し

 プラスチックバンパーと鉄バンパーを組み合わせたまま外すこともできますが、ボルトへのアクセスが悪いこと、重いことなどを考えると、別々にやるのが正解でしょう。

フロントの各種部品を外す
6010-bed.JPG

プラスチックバンパーを外す
6020-bed.JPG

鉄バンパーの奥のウインチ
6030-bed.JPG

鉄バンパーを外す(ウインチ配線切り離し済み)
6040-bed.JPG


 鉄バンパーはサビも出ているので、錆止め塗料を塗ります。今回はシャーシーブラックではなく、屋外用の錆止め塗料を使いました。刷毛目もクッキリです。

鉄バンパーを塗装
6045-bed.JPG


■ ウインチを降ろす

 ここまでやって、やっとウインチが現れます。
 今回は、気楽に考えてワイヤーを巻き取ったままの状態で分解しました。なにより、フリースプールが回らないというのが整備に最大の動機だったので、ワイヤーをほどこうと思うと、モーターを回してほどかねばならなかったからです。しかし思ったよりもいろいろやることになり、結局、ワイヤーは事前にすべてほどいておくべきでした。分解した後にほどくのはけっこう大変ですし、またワイヤーの分だけウインチが軽くなるので、作業が楽になります。
 ウインチはかなり重く(ワイヤー込だと30kg以上)、ベッドと一体の状態だと40kgを超えるので、先にウインチだけを外します。まずは電線を切り離します。ウインチ周辺には、ウインチリレーへのバッテリーからのプラス線、ボディアースに落ちるアース線、ウインチリレーを駆動するためのAcc系統の線(コネクタ)、コントローラのコネクタに行く線がつながっています。これらを、ちゃんと元に戻せるように、リレーボックスやボディーアースの位置で外します。コントローラーソケットとモーターのサーモスタットを接続する線のみ、コネクタでなくカシメによる直結だったため、ここは切断しました。組み立てる時はギボシでつなぎます。ウインチのワイヤーは、ローラーフェアリードを通ってフックにつながっているので、フックも外します。あとはベッド底面にあるボルト4本とリレーボックスのボルト2本を外せば、ウインチとリレーボックスを降ろすことができます。

取り外したウインチ 6050
6050-bed.JPG

ウインチベッド
6060-bed.JPG


■ ウインチの整備

 15年も経っているので、動いてはいるものの、状態は相当悪くなっています。まず、塗装がボロボロにはげ、金属が腐食しています。M8000はドラム軸受部と右側のギヤボックスがダイカスト製で、モーターと最終段ギヤの内歯車が鉄製です。鉄の部分は多少のサビはあるものの、まぁまぁの状態なのですが、ダイカストの部分はひどい状態です。塗膜の下で腐食がすすみ、塗膜がカサブタのように剥がれています。

ダイカスト部の腐食
6070-disasm.JPG


 リレーボックスも内部の鉄板がかなり錆びており、機能の問題はないものの、補修します。

リレーボックスの裏側
6075-relay.JPG


 ローラーフェアリードは、軸が錆びているので対処します。ここは過去に1度分解したことがあるのですが、以前もサビがひどく、軸が抜けなくなっていました。今回も軸を叩いて抜くような状態になっていました。
 ローラーにケーブルが擦った後がほとんど見られませんが、過去に分解したときに銀色に塗装したためです。

ウインチベッド
6080-bed.JPG

ローラー取り外し
6090-bed.JPG


■ リレーボックスのサビ処理

 事前の動作確認で、モーター回りやリレーに不具合はなかったものの、15年の年波でかなり腐食などが見られるので、主にボックスの鉄板部分の補修をしました。
 リレーボックスのサビを落として塗装しますが、この時、金属部のアース接続を確実にしておく必要があります。ソレノイドリレーの駆動回路は、プラス側の電線が1本しかつながっておらず、もう1本は本体の金属部からアースに落ちます。塗装などで車体アースが取れないと動作しなくなるので、金属の接触面はなるべく塗料を塗らず、組み立ててから塗装します。ボルトやネジの部分は、締め込みにより金属面が接触しますが、一応、導通を確認しておきます。

ベースプレート
6092-relay.JPG

リレーボックス
6094-relay.JPG


 ウインチの操作は有線の手元スイッチで行いますが、これはコネクタでリレーボックスに接続します。コネクタには防水/防塵のためのキャップがあり、紛失防止のために一体成型の細いベルトでベース部分とつながっています。しかしこれが経年劣化で切れてしまい、キャップがいつ紛失するかわからない状態になってしまいました。そのため、キャップに細いワイヤーをネジ止めし、これをコネクタ取り付けネジに取り付け、紛失しないようにしました。ネジ止め部には圧着端子を使っています。キャップにねじ込んだタッピングビスの先端が裏側に飛び出しますが、正確に中央に穴をあけてねじ込めば、コネクタの中央の端子穴(未使用)の位置になるので、干渉せずにキャップをしっかりとかぶせることができます。

コネクタキャップ
6096-relay.JPG


■ 全体の分解

 降ろしたウインチを分解します。ドラムを挟んでモーターとギヤボックスがあり、これはドラム上部の2本の金属棒でつながっています。この金属棒を取り付けるボルトもかなり腐食していましたが、ギヤボックス側は外すことができました。ドラムをモーター側に残してギヤボックスを取り外します。

取り外したギヤボックス
6100-disasm.JPG


 クラッチ軸の側面に位置する六角ネジを抜き取ると、クラッチレバーを抜き取れます。ギヤボックスからクラッチレバーを取り外し、中を覗いたところ、初段、2段めの遊星歯車の共用内歯車のスライド用ガイド溝の内部にサビがあります。どうもクラッチレバーの穴から水が侵入したようです。ただクラッチレバーによるスライドはでき、またクラッチを切ってモーターを回すとドラムは回転しないので、内歯車は固着していないことがわかります。

クラッチ穴から覗いたガイド溝
6110-disasm.JPG


 さらに、初段と2段めのケースと、終段の内歯車を切り離します。こちらまでは水は浸入していないようです。

ギヤボックスを分離
6120-disasm.JPG


 ギヤボックスとモーターをつなぐ金属棒を外すと、本当ならドラムもモーター側から抜き取ることができるのですが、なぜか外れません。回りもしません。どうも、軸受が固くなっているようです。モーターでは回転したので、完全な固着ではありません。

ドラムがはずれない
6130-disasm.JPG


 ドラムは置いておき、モーターを分解します。モーターの端にある2本のボルトを外すと、ブラシ側のキャップを外すことができます。ここにはサーモスタットの配線があり、エンドキャップを外すと、サーモスタットも一緒にはずれます。サーモスタットはブラシホルダーの1つにクリップで固定されているだけなので、簡単に脱着できます。
 次に界磁コイルを保持するモーターケースを外します。これで、回転子だけが残った状態になります。回転子はドラム軸受に取り付けられたボールベアリングに差し込まれているので、これを抜き取ればモーターの分解は完了です。
 モーターケースを外したら、内部はドラム軸受から塗装が剥がれてひどい状態でした。モーターケース側にも多少サビが出ています。どうも水の侵入で腐食してしまったようです。ベアリングはラバーシールタイプなので、問題はありませんでした。

ドラム軸受のモーター側の腐食
6140-disasm.JPG

モーター内部の腐食
6150-disasm.JPG


 これでモーター側のドラム軸受に、ドラムと金属棒パイプがつながったものが残りました。ドラムはかなり固く、プラハンマーで軸受側を軽く叩いて抜きました。ドラムのツバの背後の部分の腐食もかなりひどいです。

ドラム軸受の腐食
6160-disasm.JPG

 金属棒を取り付けるボルトを外すために、金属棒を万力で挟んでレンチで緩めたのですが、腐食に負け、ボルトが折れてしまいました。

折損したボルト
6170-disasm.JPG


 なお、ボルトや六角ネジなどはインチ規格なので注意が必要です。この金属棒の固定ボルトは、直径は約8mm、六角部は1/2インチで、12mmソケットははまらず、13mmだとちょっとゆるいです。かなり力のかかる部分なので、1/2インチのツールだけは用意しほうがいいでしょう。それからギヤボックスの組み立てに使われている六角ネジもインチのようです。ソレノイドの主回路のターミナルのナットは1/2インチ、モーターの取り付けボルトやソレノイドの制御端子のナットは3/8インチでした。
 ウインチの取り付けボルトは、17mmのコマがぴったりはまりますが、ミリネジなのかインチネジなのかは確認していません(サイズによっては、ミリとほとんど同じになるのです)。


■ 腐食がひどいので塗装

 このウインチのボディは、鉄とアルミダイカストを使っています。モーター部分は鉄、ドラムの両側の軸受部はダイカスト、最終段の遊星歯車の内歯車は鉄、初段と2段め(クラッチ部)のギヤケースはダイカストです。
 これらがメタリックグレイに塗装されていたのですが、ダイカストに対する塗装が悪かったのか、環境が悪かったのか、ボロボロに剥げてしまいました。鉄の部分は年式相応のサビ程度なのですが、ダイカスト部分は塗膜がカサブタのように剥げ、下地のダイカスト表面が白い粉を吹いた状態になっています。
 この状態を放置するのもなんなので、全体を再塗装することにしました。各部を分解し、グリースなどを除去した後、ワイヤーブラシで酸化物や古い塗装を極力落とした後、金属用のサビ止め塗料(アルミも使用できるもの)を塗ります。今回は茶色にしてみました。
 モーターケースはさほど腐食していないので、そのまま元のグレーを残しました。


■ ギヤボックスの組み立て

 今回の不具合、つまりフリースプールがまともに動かないという症状は、ギヤボックス内のクラッチ回りのグリースが固まったものと想像していのたですが、実際には、モーター側のドラム軸受が固くなっていたのが原因だったようです。とはいってもクラッチまわりもまともな状態ではありませんでした。これらのサビを落とし、古いグリースを洗浄します。

ギヤボックスを分解
7000-asmGear.JPG

初段と2段めの内歯車
7010-asmGear.JPG

ギヤボックスのケース 7020
7020-asmGear.JPG


 内歯車には、クラッチレバーと噛み合ってスライドするための溝があるのですが、ここが結構錆びています。どうもクラッチレバーの穴から水が浸入したようです。レバーの付け根の部分にはゴムパッキンがあるのですが、ゴムが劣化したのか、軸に対して多少の隙間があり、強く水がかかれば内部に漏れてしまいます。ウインチは車体最前部、バンパー内部にありますが、クラッチレバーを手で操作するための開口部があるため、雨の中で走れば水が激しくかかります。ゴムパッキンをどうにかしないと、水漏れは直らないでしょう。

クラッチレバーとオリジナルのパッキン
7030-asmGear.JPG


 ここの水漏れで、初段と2段めの内歯車の外周部にもかなりのサビがあり、それがケースの内面にも移っていて、あまりよい状態とはいえません。ただ部品が痩せるほどの腐食ではないので、ブラシで落としてよしとします。
 遊星歯車などはグリースのおかげで、特に問題はありませんでした。
 ドラム軸受、鉄の内歯車、クラッチ周辺のギヤケースは、10本の六角ネジで共締めされてこていされています。各部品の間には、水や油脂が漏れないようにガスケットが挟まれているのですが、15年の風雪で完全に貼り付いており、分解時に1つはボロボロに破れてしまいました。もう1つは形は保っているものの、一部が剥がれて薄くなっているので、再使用には耐えそうにありません。そこで汎用のガスケットシート(0.6mmくらいのもの)から切り出し、新しく作りました(黒いガスケットがオリジナルのもの)。

ガスケットを製作
7090-asmGear.JPG


 あとは元通りに組み立てるだけですが、問題はクラッチ回りです。
 クラッチレバーは、軸とパッキンカバー、パッキン材から構成されているのですが、古いパッキン材は使わず、軸に合うサイズのOリングをはめました。しかしこれだけでは径が足りないので、その外側にさらに一回り大きいOリングをはめ、2段構成としました。これにグリースを十分に塗布し、あとは水が漏らないように祈ります。

クラッチレバーのOリング
7040-asmGear.JPG

クラッチレバーに組み込んだ状態
7050-asmGear.JPG


 ギヤボックスの組み立てに際して、潤滑にはモリブデングリースを使用しました。
 内歯車は、前に説明したように、クラッチを切ったときにはケース内で回転します。ここをグリースまみれにしてしまうと回転が重くなり、フリースプールが軽く回らなくなってしまいます。Youtubeにあったウインチ整備の動画では、ここにはグリースを塗るなと指示されていますが、水が漏った場合、油分がないとあっという間に錆びてしまいます。そこで、ケース内面と内歯車外周、スライドガイドの溝に薄くグリースを塗布しました。回転はちょっと重くなりましたが、錆びて動かなくなるよりはいいでしょう。

参考になるYoutubeの動画(全部で3本)



 ケースを組み立てる際にはガスケットを挟みますが、自作のものなので、念の為に液体ガスケットも塗布しておきました。また分解したら、ガスケットを作り直さないといけません。また最初の状態では、接合面も塗装された状態でしたが、今回はダイカストや鉄の地肌を出した状態で組み立てています(刷毛塗り塗装で凸凹なので)。組み立て後に露出した地肌の部分は塗装します。
 あとは、グリースを十分に塗布しながら遊星歯車を組み込んでいきます。この時、キャリアー軸の潤滑に注意しなければなりません。遊星歯車の公転は、キャリアを介して次段を回転させます。パーツクリーナーを使って遊星歯車のグリースをきれいにすると、このキャリアー軸のグリースも流れてしまいます。組み付け時にグリースをたっぷり付けても、キャリアー軸にはなかなか回り込みません。まぁ、しばらく回転させれば回っていくのでしょうが。しかしそれまで無潤滑で回すのもアレなので、初期潤滑のためにモリブデンタイプのスプレーグリースを、キャリアー軸に吹き付けておきました。スプレータイプは噴射剤が揮発するまでは流動性が高く、細かいところにも流れやすいのです。細いノズルを使えば、狭い隙間にも吹き付けられます。本当は別種のグリースを混ぜないほうがいいのですが、微量なので大丈夫でしょう。

内歯車と初段の遊星歯車
7100-asmGear.JPG

2段めの遊星歯車
7110-asmGear.JPG

ドラム軸受と終段内歯車
7120-asmGear.JPG

終段遊星歯車とスラストワッシャー
7130-asmGear.JPG

ギヤボックス完成
7160-asmGear.JPG


 ドラム軸受の部分は、ボールベアリングやメタルではなく、樹脂製のブッシュが使われています。ここも腐食で固まらないように(モーター側は固まっていたのです)、腐食を除去して地肌が出ている取り付け面に薄くグリースを塗布し、ブッシュをはめます。

ドラム軸受のブッシュ
7150-asmGear.JPG

ブッシュを取り付け
7140-asmGear.JPG


 終段の遊星キャリアにはまっている歯車のような部品は、ドラムに回転を伝えるためのカップリング部品です。これがキャリアとドラムの両方に噛み合った状態で回転を伝えます。

ドラム用のカップリングを取り付け
7170-asmGear.JPG

カップリングがはまるドラム側
7180-asmGear.JPG

駆動軸を挿入
7190-asmGear.JPG

ドラムを取り付け
7200-asmGear.JPG


■ ドラム整備

 ドラム本体とブレーキには問題ないのですが、モーター側のドラム軸受がきつくなっていた問題を解決しなければなりません。プラハンマーで叩いてドラムを抜き取った後、軸受部のブッシュを外そうとしたのですが、えらくきつくなっています。ギヤボックス側は軽く外れたので、どうやらここに問題ありです。実際、内径を測ってみたところ、ギヤボックス側より何分の1ミリか小さくなっていました。ドラム側の軸径とほぼ同じか小さく、これでは軽くは回りません。

ドラム軸受
6160-disasm.JPG


 手でははずれないんので、刃先の薄いドライバーを隙間に差し込み、少しずつずらしてどうにかブッシュを外してみたところ、ブッシュのはまる部分のダイカストが腐食し、膨らんでいました。腐食をブラシで落とし、ブッシュの側もきれいにしたら、ブッシュも軽くはまり、ドラムも滑らかに回るようになりました。組み立てのときは、腐食防止のために、薄くグリースを塗布してブッシュをはめました。
 ブレーキユニットには問題はなかったのですが、ここまで分解してここだけ何もしないという手はありません。意味もなく分解してみました(仕組みをじっくり見たかったのです)。構造は前に書いたとおりですが、実際にバラすときには注意が必要です。
 ブレーキユニットはモーターのトルクが掛かっていないときは、スプリングによるプレロードでブレーキが掛かっており、ドラム内で動かないようになっています。そのためドラムから抜き取る際は、モーターでトルクをかけたときと同じように、カムを回す突起の位置を揃えなければなりません。これは先が細くなったラジオペンチなどを使います。ペンチで2つの突起を挟むとシューが緩むので、反対側から駆動シャフトを押して、ブレーキユニットをモーター側に抜き取ります。このとき、シューにグリースがつかないように、ドラム軸周辺をきれにしておきます。

ドラムの奥のブレーキユニット
2330-break.JPG


 抜けたとたん、3個のシューがばらけ、また上側コーンが回ってかかっていたプレロードも抜けてしまいます。真面目にやるのであれば、シューが半分くらい露出したところで、テープで巻くなどして仮止めすべきです。さらに問題になるのが組み付けで、誤ってプレロードをかけずに組み込むと、ブレーキがまるで効かなくので注意が必要です。実は最初にこれをやってしまいました。ブレーキを組み込んだものの全然効かず、いろいろ考えたらプレロードが必要だと気づいたのです。

ブレーキユニット
2300-break.JPG


 コーンのまわりに3個のシューを添えた状態で上側の回転するコーンを半回転させ、プレロードをかけます。この状態でテープやインシュロックなどでシューがはずれないように仮押さえし、ドラムに差し込みます。シューが半分くらいはいったら、仮押さえを外し、後は外したときと同じようにペンチで突起を挟み、ブレーキを緩めながら奥まで差し込みます。ブレーキユニットの位置は、モーター側のカップリング、ギヤボックス側の六角駆動シャフトを組み合わせた状態で、ギヤボックスとモーター側ドラム軸受を金属棒で接続し、ドラム回転に無理がない位置です。よく見ると、ドラム内側にブレーキシューが当たっていた跡があると思います。とりあえず組んでしまえば、モーターで回転しているときに適当な位置にずれていくはずです。
 ブレーキユニットは、コーン部、シューなどが摩擦で制動するため、グリースは塗布しません。
 ドラムをドラム軸受に取り付ける際は、水の浸入防止も願いつつ、軸部分にたっぷりとグリースを塗布しておきます。ただしブレーキシューにグリースがついてしまうと制動性能が著しく低下するので、ブレーキユニットを抜き取る際には、ドラムのグリースをきれいに除去しておく必要があります。


■ 動作確認

 ここまでできたら、ギヤボックス、ドラムを組み合わせ、金属棒を使ってモーター側ドラム軸受を組み合わせてみます。ドラム内には駆動軸とカップリングを組み込んでおきます。そしてモーター側に回転子を差し込み、手で回してみます。

仮組みして動作確認
7620-test.JPG

 クラッチがつながった状態では、回転子を手で回すとドラムがゆっくり回ります。またドラムをケーブル繰り出し側に手で回そうと思っても回らないはずです。ブレーキユニットにプレロードを掛けてないとこの状態で回ってしまうことがあります。
 クラッチを切った状態では、ドラムは手で回るはずです。今回はクラッチ部分の内歯車外周に薄くグリースを塗布したため、回転はちょっと重めです。
 ギヤボックスにドラムを取り付ける際は、ドラム軸受だけでなく、内部の駆動軸をブレーキユニットに差し込まなければならないため、全体を立てて行ったほうがやりやすいでしょう。
 テストが済んだら、モーター組み立てのためにモーター側のドラム軸受を外します。

立てて組み立て 7630
7630-test.JPG


 次回はモーターを組み立て、動作テストを行います。
posted by masa at 19:30| 自動車整備

ウインチを整備する その3

 今回は、ウインチの駆動系を解説します。


■ 遊星歯車減速装置

 モーターの回転は、3段の遊星歯車で減速され、ドラムを回転させます。どの段も、内歯車が固定、太陽歯車が入力、遊星キャリアが出力(次段の太陽歯車かドラムを回転させる)という構成です。

ウインチの動力伝達
2001-gear.JPG


 モーター側(ブレーキユニット)からの六角軸は、ギヤボックスの一番奥(向かって一番右側)まで達していて、そこで奥側の遊星歯車の太陽ギヤを回転させます。この1段め(初段)のキャリアに取り付けられた歯車が2段めの太陽歯車となり、そして2段めのキャリアの歯車が3段め(最終段)の遊星歯車の太陽歯車となります。伝達トルクが大きくなるほど、歯車が大きくなっているのがわかります。
 2段めと終段の太陽歯車、そして終段とドラムを接続するカップリングは、その中心をモーター軸が通るので、大きめの穴が空いています。

3個の遊星歯車
2006-gear.JPG

初段と2段め用のケース
2010-gear.JPG

初段と2段め用の内歯車
2020-gear.JPG

初段の太陽歯車、遊星歯車、駆動軸
2030-gear.JPG

ケースに内歯車と太陽歯車をセット
2040-gear.JPG

六角軸は太陽歯車を駆動
2050-gear.JPG

初段の遊星歯車をセット
2060-gear.JPG

2段めの遊星歯車をセット
2070-gear.JPG


 初段/2段めの内歯車と終段の遊星歯車の間には、樹脂製のスラストワッシャーがはいります。

終段の内歯車とスラストワッシャーをセット
2080-gear.JPG

終段の遊星歯車をセット
2090-gear.JPG

ギヤボックス側のドラム軸受とドラムのカップリングをセット
2100-gear.JPG

 ギヤボックスは3個のケース部品、すなわちドラム軸受、終段用内歯車、初段と2段め用のケースから構成されています。終段用のみ鉄製で、残りはアルミダイカスト製です。初段と2段め用のケースにはクラッチ機構も組み込まれています。終段の遊星歯車の内歯車は、ギヤボックスの内側に直接歯が刻まれています。初段と2段めはパイプ状の共通の内歯車を使っており、これがギヤボックス右側のケースの中に収められています。
 この3個のケース部品は、10本の六角ネジで固定されます。各部品の接合面にはガスケットが使われています。ケースの角度を変えて取り付けることで、クラッチレバーの位置を変えることができます。標準ではクラッチレバーは真上になりますが、サファリの純正ウインチでは、前側に36度傾いた位置となっています。
 初段と2段めの鉄製の内歯車は共用されており、パイプ状のこの内歯車がケース内で回転、スライドできる構造になっています。奥側にスライドすると、内歯車の歯がケース側に刻まれた歯と噛み合い、固定されます。ドラム側にスライドしている時は噛み合っていないので、ケース内で自由に回転することができます。
 固定状態では、初段と2段めの遊星歯車は減速歯車として働き、3段めを回転させます。3段での減速比は216となります。


■ クラッチ

 初段と2段めの内歯車をスライドさせるのがクラッチレバーです。内歯車のリングの外周には溝が切ってあり、これがクラッチレバーの偏心した突起と噛み合い、レバーの回転でスライドする構造になっています。

クラッチレバー
2200-clutch.JPG

クラッチが切れた状態(内歯車は回転できる)
2210-clutch.JPG

クラッチがつながった状態(内歯車は固定)
2220-clutch.JPG

内部での動き
2225-clutch.JPG


 内歯車が固定された状態では前述のように減速が行われ、モーターの回転でドラムがゆっくり回転します。
 クラッチが切れ、内歯車が自由に回転できるときにウインチがどのように動作するかを理解するには、まず遊星歯車の動作について理解している必要があります。
 遊星歯車は、太陽歯車、遊星キャリア、内歯車という3要素のうち、1つを固定(ウインチの場合は内歯車)することで、1入力1出力の減速歯車(逆向きに見れば増速)として働きますが、各要素を固定せず、1入力2出力あるいは2入力1出力の歯車装置として使うこともできます。例えばプリウスのエンジン、モーター/発電機、駆動軸は遊星歯車によって連携しており、エンジン出力、モーター出力/発電機入力、駆動出力/エンブレ入力の3つの回転をミキシングし、ハイブリッド走行を実現しています。あるいは戦車などの履帯車両の出力ギヤは、前後進の駆動軸と操向のための左右の回転数差を与える軸の出力を遊星歯車で合成して、スプロケットホイールを回転させています。1入力2出力の例としては、フルタイム4WDのセンターデフとしての使用などがあります。

遊星歯車
2230-pla.JPG


 このウインチでちょっとわかりにくい点は、初段と2段めの遊星歯車が内歯車を共有していることです。しかし実際に歯車を組み合わせて動かしてみればわかりますが、このような形で2組の遊星歯車を組み合わせた場合、両方合わせて1つの遊星歯車として見ることができます(ここではこれを組み合わせ遊星歯車と称します)。内歯車固定であれば、2組の遊星歯車の遊星キャリアの減速比を掛け合わせた減速比を持つ1つの遊星歯車とみなすことができます。そして内歯車がフリーであれば、適当な比率で3つの要素が回転します。なのでこのウインチのギヤボックスは、この組み合わせ遊星歯車と終段の遊星歯車の2段構成として考えることができます。

遊星歯車の組み合わせ
2240-gear.JPG


 このように考えると、クラッチが切れている時の動作がわかりやすくなります。まず、モーターが回転した時を考えてみましょう。
 モーターの駆動トルクによりブレーキの拘束は解除されているので、ドラムはモーター軸に対して異なる速度で回る、あるいは止まっていることができ、そしてドラムの回転に連動して終段の遊星歯車も回転します。また初段、2段めからなる組み合わせ遊星歯車の内歯車もフリーです。そのため組み合わせ遊星歯車は、モーター軸からの1入力、内歯車と、終段につながるキャリアへの2出力となります。この2出力はどちらも自由に回転することができます。このどちらにも大きな負荷はかかっていないので、モーターの回転トルクは両方に流れます。通常はワイヤーが巻いてあるドラムよりも内歯車のほうが軽く回るので、モーター回転で内歯車が回り、ドラムは回転しないということになります。ワイヤーを巻き付けていないなど、ドラムの抵抗が小さければドラムも回転しますが、手で押さえれば止まる程度の力です。
 つまり、クラッチを切ってモーターを回した場合は、ドラムはほぼ回転せず、モーターが空転することになります。

モーターの空転(灰色の部分は回転しない)
2250-clutch.JPG


 では、モーターオフでドラムを回転させた時はどうなるでしょうか?
 ドラムの回転は、終段遊星歯車で増速され、組み合わせ遊星歯車のキャリアへの入力となります。モーター停止時はドラムとモーター軸はブレーキで拘束されているので、ドラムの回転はまた、モーター軸を介して組み合わせ遊星歯車の太陽歯車を回転させます。この場合の組み合わせ遊星歯車は、太陽歯車がモーター軸による入力、そしてキャリアは終段遊星歯車からの入力となります。つまり2入力1出力となり、その結果、残りの要素である内歯車が出力となって回転します。
 これはブレーキがドラムとモーター軸を拘束しているにもかかわらず、ドラムが自由に回転できるということです。またモーターは、ドラム内部で拘束されているモーター駆動軸により、ドラムと同じ速度で回転します。モーターの抵抗により、カム部の突起が多少ずれ、ブレーキが軽くなるという現象も起こるかもしれません。
 これがクラッチを切るとドラムが自由に回る仕組みです。ドラムがフリーになることで、モーターを回さず、ワイヤーを手で引っ張り出すことができます。

ドラムの空転(すべての歯車とモーターが回転する)
2260-clutch2.JPG


 クラッチが切れていないときは、組合せ遊星歯車の内歯車の回転ができないため、ドラムは回転できません。
 ドラムを外力で回転させた時、内歯車が空転しますが、このとき終段で増速されるので、組合せ遊星歯車のキャリアは太陽歯車より高速回転し、内歯車はそれよりさらに増速されて回転します。そのため内歯車の回転に抵抗があると、ドラムの回転はかなり重くなります。それゆえこの部分は、回転抵抗の大きいグリース潤滑は不向きです。無潤滑ならかなり軽く回るので、内歯車とケースの間にはグリースを塗布しないほうがよく、実際製品出荷時は無潤滑だったようです。しかし油分がないことによるサビが見られたので、ちょっと回転が重くなってもグリースを使うという選択もあります。


■ ブレーキ

 ブレーキユニットはモーターオフ時にドラムが回転しないように拘束するもので、ドラム軸の内部に組み込まれています。動作としては、モーター駆動シャフトとドラムの間を拘束します。モーターシャフトは高速回転し、それがギヤボックスで減速されてドラムをゆっくり回転させるので、ドラムとシャフトが拘束され、回転速度差を許さない状態では、ドラムは回転することができません。これでブレーキとなります。モーターが回転すると、その回転によりブレーキのカムが動作し、ブレーキが緩み、ドラムと軸が異なる速度で回転できるようになります。これで、モーターの力でドラムを回すことができます。

ドラム中のブレーキユニット
2330-break.JPG

カップリングがセットされた状態
2340-break.JPG


 ブレーキユニットは、モーターの出力軸に取り付けられたカップリングによって回転する部品で、写真のブレーキユニットの上側にカップリングがかぶさります。ブレーキユニットの下側には六角形の穴があり、それがギヤボックスに回転を伝える六角軸を回転させます。つまりブレーキユニットは動力伝達部品でもあり、モーターによって回転し、そして必要に応じてブレーキを作動させます。

ブレーキユニット
2300-break.JPG

カップリング
2310-break.JPG


ブレーキユニットとカップリング
2320-break.JPG


 ブレーキユニットは、カムによってスライドする2個のコーン型(円錐形)の部品と、3分割されたブレーキシューで構成されています。2個のコーン部品が接近すると。シューが外側に広がり、ドラム軸内面に押し付けられます。離れるとシューへの圧力がなくなるので、ドラムを押さえる力が抜けます。
 ここでは上側のコーン、下側のコーンと言っていますが、これは立てて置いた場合の話です。実際にウインチに組み込まれている状態では、「上側」コーンがモーター側、「下側」コーンがギヤボックス側となります。
 下側のコーンは中心の軸に固定されています。その上にある上側コーンは軸に対して自由に回転することができます。上側のコーンの上部はカムになっていて、軸に固定されている最上部のカムと接触しています。このカムにより、上側コーンが回転すると、上側コーンがスライドする構造になっています。このスライドにより2個のコーンの間の距離が変わり、シューが外側に広がったり戻ったりします。

ブレーキの動作
2325-break.JPG


 前の写真はカムがスライドし、ブレーキが作用する位置を示しています。次の写真はブレーキがほぼ緩んでいる状態です。カムと突起の位置関係の違いがわかります。

緩んだ状態のブレーキユニット
2328-break.JPG


 回転する上側コーンは、軸にスプリングでつながっています。これはゼンマイのように働き、上側コーンをひねる力を発生させます。ブレーキが組み付けられている状態では、ブレーキをかける方向(回転してコーンが接近する方向)に作用します。
 上側コーンのカム部と最上部のカム(下側コーンとつながっている)にはそれぞれ突起があり、突起の位置が揃っている状態で、2つのコーン間の距離が最大になり、ブレーキが緩みます(図の上側の状態)。力がかかっていないときは、スプリングの力でブレーキがかかる方向に突起がずれています(図の下側の状態)。
 モーター軸に取り付けられたカップリングは、この2セットの突起部と噛み合うようになっており、モーターのトルクがカップリングにかかると、カップリング内部の突起がブレーキユニット側のそれぞれの突起を押すので、突起の位置が揃うようにカムが回転し、ブレーキが緩みます。モーターが回っていないときは、スプリングの力によりカムがずれてブレーキが作動します。
 重要な点は、スプリングによって常時ブレーキが作動するようにコーンに力がかかっていることです。もしスプリングで押さえる力がないと、モーターが止まったときにブレーキが作動しません。
 このスプリングの力はささやかなもので、人間の手で回せる程度です。この程度の力でカムを介してシューを押さえたところで、大きな力がかかるドラムの回転を止められるものでしょうか?
 まずドラムは減速ギヤによってトルクが増大されているという点が重要です。すなわち、このブレーキユニットの位置では、それほど大きなトルクはかかっていないのです。ウインチの能力という面で見れば、モーターの出力トルク程度の制動能力があれば、定格牽引能力に対してドラムを制動できることになります。
 以下は想像ですが、さらに制動能力を高める効果も考えられます。
 モーターが回転していない時、ワイヤーを引き出す方向にドラムを回そうとすると、何が起こるでしょうか? ドラムの回転トルクはギヤボックスを経て、モーター軸(ブレーキユニット)をドラムより高速で回転させようとします。これはブレーキユニットのカムを回転させるトルクとなり、カムを作動させます。
 ブレーキシューは、スプリングの力でドラムに押し付けられているので、下側コーンが回転しようとしたときに、回転できる上側コーンは下側コーンよりも回転が遅れます。つまり上側と下側の間で回転が起こり、これがカムを作動させ、2個のコーンがさらに接近しようとします。これでシューを押さえつける力が強くなります。カムを動かす力は、ドラムを回そうとする力が増えるほど強くなるので、ブレーキも強力になり、大きな制動力が得られます。つまり自己倍力効果によって強力なブレーキ作用を発生させていると考えることができます。実際にこの効果がどれだけあるのかはちょっとわかりません。この効果による制動能力を求めるには、減速ギヤ比、カムやコーンの勾配、シューの摩擦係数などから計算する必要があります。


 ウインチのおおよその構造の説明は以上です。次回は、我が家のウインチの整備の顛末を紹介します。
posted by masa at 11:15| 自動車整備

2018年08月22日

ウインチを整備する その2

 うちのウインチの整備について話をする前に、M8000ウインチの構成や構造を紹介しておきます(各部の写真は、整備前、整備後のものが混じっています)。


■ ウインチの構成

 M8000ウインチは遊星歯車減速式で、車の前方(ワイヤー引き出し側)から見て、中央にワイヤードラム、向かって左にモーター、右にギヤボックスがあります。モーターのそばには、On/Off、逆転のためのリレーボックスがあります。ギヤボックスにはドラムをフリーで回転させるためのクラッチレバーがあります。

車体に取り付けられたウインチ(バンパー取り外し済)
1010-winch.JPG

1020-winch.JPG


 モーターからの出力は、ドラム内のブレーキユニットを経由して、六角軸で右側のギヤボックスの一番奥まで達しています。そしてギヤボックス内の3段の遊星歯車で減速され、ドラムを回転させます。
 ブレーキユニットは、モーターが止まっている時にドラムが回らないようにするためのもので、モーターが回転していないとき、モーター軸とドラムの間を拘束します。モーター軸とドラムは異なる速度で回転しますが、これが拘束されることで、ドラムは回転できなくなります。モーターが回転すると拘束が解除され、モーターの回転が減速され、ドラムが回転します。

ウインチの駆動系統
2002-gear.JPG


■ モーター

 このウインチのモーターは直流直巻という構成で、界磁を構成する巻線と、回転子の巻線が直列に接続されています。界磁は4極が直列になっています。回転子のブラシは4個あり、回転子の巻線は2セットが並列接続になります。

モーター銘板 SERIES WOUNDは直巻という意味
1025-motor.JPG


モーターの内部 界磁コイルは4極、銅線というよりは銅板
1030-motor.JPG


モーターの内部 ブラシは4個、2系統の並列接続
1040-motor.JPG


モーターの内部 回転子を組み込んだ状態、右側のブラシホルダーにサーモスタット用のクリップがある
1045-motor-.JPG


モーターの内部 回転子を組み込んだ状態、出力軸側
1047-motor-.JPG


回転子のブラシ側
1050-motor.JPG


回転子の出力軸側
1060-motor.JPG


 自動車で使われる直流モーターのほとんどは界磁が永久磁石のもので、直流直巻はスターターモーターくらいしか使われていません。
 軸受は、非出力軸側(ブラシ側)はプレーンメタルベアリングです。軸受ハウジングの奥に不織布のパッドがあり、ここにオイルを染み込ませておくタイプです。現行モデルのモーターは、このベアリングはボールベアリングに変更されているようです。

出力側ベアリング
1070-motor.JPG


ブラシ側ベアリングとサーモスタット
1080-motor.JPG


 出力軸側はラバーシールタイプのボールベアリングが、ドラム軸受に組み込まれています。つまりモーターはドラム軸受に取り付けられた状態でないと、軸が支えられません。ウインチ本体から取り外した状態では、モーターを回転させることはできません。もっとも直流直巻モーターなので、無負荷で回転させると飽和するまで回転が上がってしまうので、原則として無負荷運転は禁止ですが。
 補修部品やアップグレードパーツでモーターを購入する場合は、仮軸受が付いた状態で出荷されるようです。こうしておかないと、回転子と界磁があたって傷がついてしまいます。
 モーターのブラシ側には、過熱検出用のサーモスタットが組み込まれます。ブラシホルダーの1つにサーモスタットを取り付けるクリップ金具があり、サーモスタットに熱伝導グリスを塗ってはめ込み、ブラシホルダーと接触させます。サーモスタットの配線はキャップを貫通しているので、キャップを外す時にはサーモスタットも外します。
 直巻モーターの特徴は、低速回転時のトルクが大きいこと(停止時に最大になる)で、ウインチのような用途には向いています。しかしこのトルクが大きい点が曲者で、そのトルクを発生させるために大電流が流れるのです。もう1つの特徴は、無負荷時に回転が異常に上昇することです。
 この時代のM8000では、ギヤボックスにはガスケットが使われていますが、モーターはガスケットを使っていません(現行のモデルがどうなっているかは知りません)。実はモーターまわりは水密には作られていません。ドラム軸受部品とモーターケースの合わせ目には、2箇所の開口部があります。写真でダイカストの地肌が出ている部分がモーターケースとの接触部分ですが、切れている2個所は段差になっていて、組合せたときに隙間ができるようになっています。
 これはウインチを水平面にマウントした時に最下部になる位置と、8274のように垂直面にマウントした時に最下部になる位置です。つまり、内部に水がはいっても抜ける構造になっているのです。一方は最下部になるので水抜き穴になりますが、もう1つの穴は側面に位置するため、雨などで水が浸入する経路となります。またドラム軸受のモーター取り付けボルトの穴は4箇所あり、2箇所しか使わないので、これも開口部となります。これはウインチドラムのツバの裏側になりますが、水がビシャビシャかかれば、多少は浸入するでしょう。新しいウインチはツバの裏側にグリースシールがあって軸受回りが水密になっているようですが、このM8000にはそのようなものはないので、水が浸入する可能性は高いです。

ドラム軸受側の水抜き穴
1090-motor.JPG

1100-motor.JPG


 ブラシ側もガスケットはありませんが、接合面に段差があり、出力軸側よりは水が入りにくい構造になっています。


■ リレーボックス

 マグネットモーターは、モーターの2つの端子に掛ける電圧の向きを逆にすることで、回転方向を逆にすることができますが、直巻モーターの場合は少し複雑になります。界磁と電機子が直列なので、単純に極性を逆にしても、界磁、電機子とも磁化の向きが変わるため、回転方向が変わらないのです。そのためどちらか一方だけ、極性を変えます。
 WARNのウインチのモーターは図のような接続になっており、界磁コイルの極性を変えることができます(回転子側は、前に触れたように2回路になっています)。

モーター内部の接続 1102
1102-motor.jpg


 モーターのF-1F-2というターミナルは、界磁コイル(フィールドコイル)につながっています。もう1つのターミナルAはブラシを介して回転子(アマチュアコイル)につながるもので、内部でブラシに接続されています。回転子のもう一方の配線はブラシを介してモーターケースにつながっており、グラウンドに接続しています。
 バッテリーのプラス側からの配線は、F-1F-2に繋がり、界磁を磁化して他方から流出し、Aに至ります。そして回転子を励磁してグラウンドに流れます。
 F-1F-2のどちらかをプラス電源に、そして他方をAにつなぐことでモーターが回転します。リレーボックスの役割は、F-1F-2の間に流す電流の開閉と向きを変えることです。

リレーボックス内の配線
1120-Relay.JPG


 リレーボックスの中には4個のソレノイドリレーがあり、それぞれが100アンペア以上の電流を開閉できる接点を内蔵しています。ソレノイドは直流12Vで動作し、12Vを掛けるとソレノイドにより接点が動作し、電流が流れるようになります。大電流開閉のため、接点やスプリングも相応のものを使っているようで(非分解構造なので、中は見えない)、ソレノイドリレー自体の動作電流も大きく、12Vをかけた時、3.5Aの電流が流れます。リレーは2個セットで動作するので、リレーの駆動だけで7Aの電流が必要になります。

基本的なOn/Off、逆転回路
1104-relay.jpg


 ソレノイドリレーを図のように結線することで、センターオフのスイッチをどちらに倒すかに応じて、界磁に流れる電流の向きが変わり、モーターの正転と逆転ができます。もちろん、センター位置の場合は電流が流れず、Offになります。
 ウインチ故障でよくあるのが、このソレノイドリレーの動作不良です。リレーが正常に動作しないと、正転はするのに逆転はしないといった症状が現れます。
 Y61の純正ウインチはさらに付加回路が組み込まれています。コントローラーをコネクタに差し込むことで、エンジンルーム内にあるマスターソレノイドリレーが動作し、このリレーボックスにバッテリーからの電力が供給されます。そしてモーターには、過熱保護機能が組み込まれています。モーター内部にサーモスタットが組み込まれており、モーターが過熱するとサーモスタットが動作し、回路が切れます。

実際の回路(整備書より)
1106-fig.jpg


 ウインチの操作は有線の手元コントローラーで行いますが、これはコネクタでリレーボックスに接続します。ウインチはAcc電源がOnになっているときに使用できます。コントローラを接続することで、Acc電源でマスターソレノイドがOnになり、電源が供給されます。

コントローラとコネクタ
1110-Relay.JPG


 サーモスタットはモーターのブラシ部に取り付けられており、温度が上がると回路がOffになります。これはソレノイドリレーを駆動するスイッチ回路に組み込まれており、サーモスタットの動作でソレノイドがオフになるため、モーターが止まります。サーモスタットが動作した時は、サーモスタット両端に12Vがかかるため、並列に接続されたLEDが点灯します。つまりスイッチをOnにしてLEDが光る時は、サーモスタットによる保護でモーターが回転しないということです。サーモスタットは、温度が下がると自動復帰します。
 興味深いのは、この過熱保護動作は巻取り時のみ有効ということです。回路を見るとわかりますが、繰り出しのためのソレノイドリレー回路はサーモスタットを通らないので、過熱していても繰り出しはできることになります。

 次回は遊星歯車による減速機構、フリースプールクラッチ、ブレーキについて説明します。


posted by masa at 18:47| 自動車整備

2018年08月13日

ウインチを整備する その1


 我が家のY61サファリにはメーカーオプションの電動ウインチが装備されているのですが、これがちょっと調子が悪くなったため、分解整備します。


■ メーカーオプションのウインチ

 今どきの事情は知りませんが、かつてはウインチはクロカン4WDの重要なアクセサリーであり、メーカーでオプション設定されていたり、あるいはサードパーティ品を後付したりということがしばしば行われていました。我が家のサファリは、購入時にメーカーオプションのウインチを装着しました。メーカーオプションのメリットは、ウインチ込みでの設計となるため、後付感なくスッキリと装着されることです。同時にこれは欠点でもあり、ウインチがバンパー内に収まってしまうため、ワイヤーの管理やメンテ性が低下します。以前のモデルであるY60では、ウインチを取り付けるとバンパーより飛び出して露出していました。悪路でつっかえるとか、デザイン的に文句がある人は多かったみたいですが、メンテ性はとてもよいものでした。

Y61のメーカーオプションのウインチ
0001-opWinch.jpg


Y60のメーカーオプションのウインチ
0000-opWinch.jpg


 Y60のウインチには、エンジン動力で動作するPTOタイプと電動タイプがありました。電動ウインチは、Y61と同じでWARNのM8000が搭載されていました。自分が乗っていたY60は、PTOタイプのウインチを搭載していました。Y61は電動のみです。


■ ウインチの現状

 今の車になってからほとんど悪路を走らなくなったため、ウインチを装着してはいるものの、ほとんど使ったことはありませんでした。たまに動作確認をするくらいです。
 久しぶりに動作確認をしたところ、モーターは正常に回転し、巻取りと繰り出しはできるのですが、クラッチの動作に問題がありました。ワイヤーを巻き取るドラムにはクラッチが付いており、クラッチがつながっているとモーターでドラムが回転し、止まっている時はドラムにブレーキが掛かります。クラッチを切るとドラムはフリーで回転し、ワイヤーを人力で引っ張り出すことができます。またフリーの時にモーターを回転させても、ドラムは回りません。
 動作確認をしたところ、クラッチを切った状態でドラムがフリー回転しなくなっていました。それ以外のモーター駆動は正常でした。ウインチのクラッチを切ると、ギヤボックス内の遊星歯車の内歯車がフリー回転するようになり、これにより動力伝達が切れるのです。グリースの劣化で、この回転が死ぬほど重くなってしまったのでないかと考えました。稼働時間が短い(15年で10分くらい?)とはいっても、年数も経っているので、それなりに状態は悪くなっています。クラッチの不具合以外にも、ひどい塗装剥がれがあり、腐食も進んでいます。そこで、ウインチを分解し、整備することにしました。
 作業はショック交換と並行して行い、ショック交換の際にウインチを降ろしました。その後、バンパーまわりはウインチなしで組み立て、ウインチ整備が完了したら、再度バンパーをばらして組み込みます。

腐食したウインチ
0030-winch.JPG


■ ウインチの仕様

 このウインチは日産の純正オプションですが、当時のトヨタがアイシン製を使っていたのに対して、日産はアメリカのWARN製を搭載していました。ネームバリュー的にはアイシンよりもWARNのほうが受けが良かったのは確かです。ただ、この時代(今は知らない)のWARNのウインチには、ひとつ大きな問題があります。ネジがインチなのです。この辺は、それが日本メーカーのオプションであっても変わりません。そのためウインチベッドなどはミリのボルトなのに、ウインチ本体のボルトや配線のターミナルのナットなどはインチなのです。これに気をつけないと、ボルトをなめたり、工具が抜けなくなったりする可能性があります。
 搭載されているウインチは、WARNのM8000 D1というモデルです。これは現行のM8000とは一部(特にモーター)が違います。8000は能力を示すもので、牽引力が8000ポンド(3600kg)という意味です。
 もっとも3600kg引きといってもいろいろ条件があります。ワイヤーはドラムに巻かれますが、ワイヤー巻取り量が増え、実巻取り径が大きくなると牽引力が低下します。この3600kgという力が出せるのはドラムの1層めの場合で、最外層だと3000kg以下になってしまいます。

巻取り能力の変化
0040-fig.jpg

1層め 3630kg
2層め 3302kg
3層め 3206kg
4層め 2826kg



 動力源は4.8馬力程度のモーターなのですが、直流12Vでこの馬力というと、最大で450A程度の電流を必要とします。これは普通の車のオルタネーターで供給できるものではないので(せいぜい100Aがいいところ)、実質的にバッテリーの放電で動かすことになります。

負荷 速度 電流
0kg19m/S 80A
910kg 4.9m/S 200A
1810kg 3.6m/S 285A
2720kg 3.0m/S 350A
3630kg 2.4m/S 450A



 一般にバッテリーにとって最大の負荷であるスターターモーターが約100Aですが、ウインチはこの3倍以上(エンジンが止まっていたら4倍以上)の電流が必要ということです。かなり大型のバッテリーを搭載していても、最大電流だと数分しか供給できないでしょう。WARNのサイトによれば、650CCA以上(日本のJIS表記だとおそらく100以上)のバッテリーが必要となっています。CCAはCold Cranking Ampereの略で、冷間時の放電能力を示し、この値が大きいほど放電能力が高いことになります。現在使用しているのは145D31で、CCA実測値は750程度なので、一応条件は満たしています。

 次回は、ウインチの構造を解説します。
posted by masa at 15:58| 自動車整備

2018年08月05日

Y61サファリのショックアブソーバーを交換する

 Y61サファリ中期型を購入して約15年、11万キロほど走行しました。この間、一度もショックアブソーバー(以下ショック)を交換していないので、交換することにしました。ひどく抜けているという程ではないのですが、ロッドのプロテクター部分が錆びて欠落し始めたなど、まぁ、交換してもよかろうということで。


■ 新しいショック

 とにかく安いという理由で、Procomp ES3000を選びました。ちょっと上乗せすると、よりハイパフォーマンスなES9000も買えるのですが、特にこだわりはないので、一番安いやつです。ブッシュ類込みで4本で25000円、それからナットやワッシャー類を日産純正部品で新品を購入したのが3000円ほどです。
 ちなみにES9000は低圧ガスショック、ES3000は一応なんかガスは入ってるみたいですが、ほぼ大気圧、つまりただのオイルショックのようです。

Procomp ES3000
010-ES3000.JPG


 低圧ガスショックはガス圧によって勝手に伸びてしまいますが、オイルショックはそれほどの圧が掛かっていないので、どのポジションにしても、その位置を維持します。
 Procompの製品(代理店?)サイトによると、ES3000は低圧ガスショック(飛び出さない)、ES9000は高圧ガスショック(飛び出す)ということになっています。自分の認識では、高圧ガスショックはビルシュタインのような単筒式、複筒式は飛び出すものが低圧ガスショック、飛び出さないもの(さらに圧力が低い)はただのオイル式という認識なので、ES3000はただのオイルショックです。
 ショックは、飛び石や泥などからピストンロッドを保護するために、ロッド部を覆うようにプロテクターが備えられています。メーカー装着のショックは、鉄のパイプを使っていますが、サードパーティ品はラバーブーツも使われています。ES3000はラバーブーツタイプです(購入時に色を選べます)。固定はシリンダ側はインシュロックで、ロッド先端側は、先端に取り付けられたフランジにはめるという形です。フランジへの取り付けはちょっと甘い感じだったので、こちらもインシュロックで固定しました。
 ブーツの上下には水/空気抜き穴があり、これを塞がないような位置にブーツを固定します。このブーツ、ハイリフト用のロングストロークのものと共通なようで、標準ないし2インチアップ程度のものにはちょっと長すぎます。目一杯縮むと、押しつぶされる形で固定が甘い上側が外れるかもしれません。
 注意点として、ナットのサイズがあります。このショック、どうもインチネジのようで、ステム用のナットが約14mmなのですが、実際にはそれより何分の1mmが大きく、ツールによっては14mmだとうまくはまらないとか、きつい場合があります。


■ フロントショックの取り外し

 まずはフロントから。フロントのショックはホイールの裏側、ナックル部の付け根に取り付けられているので、ジャッキアップし、ホイールを外して作業します。今回、ウインチ整備も平行して行っているので、バンパーも外してあります。

ジャッキアップしてウマをかける
020-jackup.JPG


 15年も触っていない足回りのボルトなんか、触るものではありません。とにかく緩みません。
 フロントショックは上下ともステム(ボルト)タイプで、フレームのマウント部には、ゴムブッシュを介して取り付けてあるので、そのまま回してもショックごと回ってしまいます。そのため、回り止めをしないといけません。フロントはロッド最上部の一部が平行面になるように加工されていて、ここにスパナを掛けることができます。
 サファリのフロントショックの上側は、非常に狭いところにナットがあり、ソケットレンチははいりません。オフセットのあるメガネもだめ。使えたのは、わずかに角度のついたコンビのメガネ側と、首振りタイプのラチェットメガネだけでした。
 スパナで押さえながら上側のナットをはずすのですが、、これが固い。結局、ラスペネを数回かけ、ハンマーで軽く衝撃を与えるなどして、最終的には満身の力を込めてどうにかゆるみました。ゆるめはコンビで行い、その後のナット外しはラチェットメガネを使いました。

フロントの上側のナットを、回り止めして外す
030-FrontUp.JPG


 下側のナットは広いところにあるので、インパクトで楽勝と思っていたのですが、これまたゆるみません。インパクトは20kg・m程度のトルクは出るはずなんですけどね。下側はまた悪いことに、回り止めスパナが掛けられる構造になっていません。インパクトなら回り止めはいらないのですが、これがだめなので、どうにかしないといけません。結局、パイプなどの回り止めに使うチェーンレンチを使って押さえました。もともとオイルフィルター用に購入したものなので、そんなに大トルクに耐えられるようなものではないのですが、どうにか耐えてくれました。
 もっともインパクトでもだめだった固く締まっているナットが、チェーンレンチを手で押さえた程度緩むわけもなく、結局、チェーンレンチには魔法の杖(という名前の鉄パイプ)を突っ込み、ナット側は500mmのラチェットハンドル(昔トルクレンチだったもの)を使い、どうにか緩めました。タイロッドが干渉するのでエクステンションを使ったのですが、そのせいで変な向きの力がかかり、ショックのボルトがひん曲がっていました。

チェーンレンチ
035-ChainWrench.JPG

チェーンレンチと500mmラチェット
040-Chain.JPG

魔法の杖 登場
050-Magic1.JPG


魔法の杖とそれに敗北した文明の利器
060-Magic2.JPG


取り外したフロントショック
070-OldFront.JPG


■ フロントショックの取り付け

 今回購入したES3000、ステムのネジ部の長さに対してブッシュの厚みが結構あり(というかネジ部が短く)、車体にセットした状態では、ボルトのネジ部がブッシュの上に出てきません。つまり、ギュッと押さえないとナットがかからないのです。ちょっとがんばってやってみたのですが、非力な自分の握力でゴムが縮むわけもく、またうまくクランプなどをかける隙間もなく、結局ブッシュをナイフで切り、ちょっと薄くしました。

フロントブッシュ
080-FrontBush.JPG


新しいフロントショック
090-NewFront.JPG


■ リアショックの取り外し

 リアショックはホイールよりかなり内側に取り付けられており、上部マウントも下側からアクセスするので、ホイールを外す必要はありません。ただ、作業空間を確保するために、ジャッキアップし、フレームをちょっと持ち上げています。
 リアショックは、上下とも取付部はアイになっており、フレーム、アクスル側の取り付け軸に差し込む構造になっています。なので、その軸の先端のネジ部のナットを外せば、取り外すことができます。アクスルに取り付ける下側のナットはあっさりと緩んだのですが、上側がアクスル上部の奥のほうにあり、うまく工具がはいりません。フレーム側の取り付けボルトのちょっと先にはサスペンションスプリングの上側のマウント部があり、ソケットレンチははいりません。また右側はブレーキのLSPV(積載量によって後輪ブレーキの油圧を調整するバルブ)、左側は排気管がそばにあり、かなり狭いのです。

リアの下側
100-RearLower.JPG


右リア上側
110-LeftUpper.JPG


左リア上側
120-RightUpper.JPG


 使えるのは、フロントの上側に使ったコンビかラチェットメガネだけです。しかも固く締まっています。一応、作業の1週間前にラスペネも吹いておいたのですが、だめなものはだめです。フロントで懲りたので、リアの作業を始める前に、ラスペネとは違う新しいケミカルを使ってみました。これは冷却して潤滑剤を浸透させるというものです。ボルト部を急冷することで収縮させ、錆びや固着部にクラックを発生させ、そこに潤滑剤を浸透させるというものです。

冷却潤滑剤
130-CoolCRC.JPG


取り外したリアショック
140-OldRead.JPG


 これを試してみたら、それなりに硬かったものの、案外簡単に緩みました。というわけで、リアに関しては、狭くて時間がかかるという点以外は、取り外しはほとんど苦労しませんでした。


■ リアの取り付け

 取り外しが楽だったのですが、取り付けに意外と苦労しました。
 まず上側から取り付けます。ツールの動く範囲が狭いので、下側をフリーにしておき、なるべく広くしておきたいからです。まずブッシュのはまったアイを軸に差し込むのですが、これがはまりません。ラバーだかウレタンなので軸径より内径がちょっと小さいのですが、とにかく場所が狭く、力がはいらないのです。結局、アイのちょっと下のロッド部にストラップをまわし、車の後ろ側から引っ張るという形で差し込みました。
 さて本締めしようというところで問題が発生。上側はアイのブッシュを両側から挟むようにワッシャーが付くのですが、これがブーツ取り付け用フランジにすごく近く、アクスルの動きによっては接触しそうです。また隙間が狭くてブーツの上側がはまりません。
 仕方がないので、干渉する部分のワッシャーを削ることにしました。せっかく取り付けたショックをまた外し、ワッシャーをグラインダーで削ります。そして干渉しないようにうまく向きを合わせながら、再度ショックを取り付けます。

ワッシャーの加工
150-Washer.JPG


 ところで、ナットを締めるとき(ゆるめるときも)かなり硬いなと思っていたのですが(手で回らないくらい)、よく見たらネジの一部をカシメて変形させているロックナットでした。そういえばこのナット、再使用不可部品でした(だから新品を注文したのでした)。まぁ、何度か付け外しをしているので、再使用しているのですが。。
 下側にも問題がありました。アイのブッシュの厚みに対して軸部が長くて隙間ができ、ナットを締めてもブッシュがスライドしてしまうのです。フロントは厚すぎたのにリアは短いのかよ。。。上側の干渉といい、下側の隙間といい、全体的に純正のショックよりもマウント部が小ぶりなようです。

リア下側の取り付け軸
160-RearLowMount.JPG


隙間がある
170-Play.JPG


 この隙間をなくすために、30mmのアルミ丸棒から厚さ5mmのスペーサーを削り出し、ブッシュとアクスルの間に挟み、ちゃんとナットで圧力をかけて押さえられるようにしました。写真ではスペーサーが黒く塗られているのでわかりにくいですが、ショックのアイとマウントの間にはまっています。

アルミでスペーサーを作る
180-Washer1.JPG


厚さ5mmのスペーサー
190-Washer2.JPG


スペーサーを介して取り付け
200-NoPlay.JPG


取り付け完了
210-Read1.JPG

220-Rear.JPG


■ まとめ

 ショック交換は、最初の車のJeepでも、前に乗っていたY-60でもやっているのですが、どれも半日もかかりませんでした。特にY-60は今のY-61とまったく同じ構造だったのですが、新車から数年でやったので、固着がなく、比較的簡単に済みました。やっぱり錆びるとだめですねぇ。。。
 あとひとつ気になる点が。
 リアの左ショックは排気管のすぐ横なのですが、これのゴムブーツがかなり排気管に近いのです。走っている間は大丈夫でしょうが、渋滞などで止まっている間、あぶられることになります。溶けるんじゃなかろうかと。。。しかし、猛暑日の炎天下、高速の通行止めで1時間半アイドリングを続けましたが、とりあえず大丈夫でした。

ブーツと排気管
230-Boot.JPG


 さて、ショックを交換した後の乗り心地の変化ですが。。。
 鈍感な自分には変化は感じられませんでした。ステージによっては差があるのかもしれませんが。。
 前のショックも抜けていた訳ではなく、ノーマルに近い味付けのものに変えたので、差があまりないのでしょう。まぁ、以前の乗り心地に不満があったわけでもないので、これでよしとします。

posted by masa at 10:55| 自動車整備

2018年06月09日

ジャッキの作動油漏れを直す


 以前、車のタイヤ交換などに使っていたSLマンモス3t(大橋産業)というフロアジャッキを最近買い替えました。これはホームセンターで普通に売っているジャッキの中で最大級のものです。
 買い替えた理由の1つは作動油が漏ることでした。漏るといっても、ジャッキが下がってくるといった症状ではなく、リリース弁を回してジャッキを下げる時に、リリース弁のところから漏るのです。
 新しいジャッキ(長崎ジャッキNSG-3)があるので、SLマンモスはほぼ引退なのですが、補助ジャッキとして使えるようにしておこうと、修理することにしました。

大橋産業 SLマンモス3t
01-jack.JPG


 降ろすためにリリース弁を回すと、その軸の付け根から漏るのですから、原因はこの部分のパッキン材の劣化でしょう。まずはこのリリース弁のネジ軸を外します。このジャッキはジャッキレバーをねじるとリリース弁が開閉される構造で、レバーとリリース弁の軸はレバー支点位置で歯車で噛み合う形になっています。
 外れ止めのボルトを外せば、くるくる回すだけで逆ネジのリリース弁軸を取り外すことができます。この時、ジャッキのラム部にあるオイル注入口に隙間をあけて、空気圧差をなくしておきます。これをやらないと、油が吹き出すことがあります。

リリース弁部分
02-rel0.JPG

リリース弁軸を外したところ
03-rel1.JPG

取り外したリリース弁軸
04-rel2.JPG


 リリース弁軸にはOリングが組み込まれており、これで密閉しているはずなのですが、よく見ると外側がだいぶ平らになっています。たぶんこれがすり減って、漏るようになったのでしょう。
 手持ちのOリングセットの中から合うサイズのものを選び、交換します。並べてみると、新しいものが気持ち太いのがわかります。

Oリングセット
05-Oling1.JPG

新旧のOリング
06-Oling2.JPG


 リリース弁軸に組み込むと、ゴム部の張り出しが以前より明らかに大きくなっています。

新しいOリングを付けたリリース弁軸
07-rel4.JPG


 リリース弁軸を組み込み、動作させてみましたが、とりあえず油漏れはなくなりました。これまでの油漏れで作動油がかなり減っているので、フィラープラグを外して油を足しておきます。今回はタービン油を使いました。何度かフルストロークさせてエア抜きして、作業終了です。ついでに、何年ぶりかで各部に注油しておきました。
 実際に車を上げてみましたが、軸重1tちょいを2輪同時に問題なく上げられます。ただこのジャッキ、3tとなっていますが、がんばって2tがいいところという感じです。

デフ玉に掛けて2輪同時ジャッキアップ
09-.JPG

posted by masa at 14:03| 自動車整備