2018年08月13日

ウインチを整備する その1


 我が家のY61サファリにはメーカーオプションの電動ウインチが装備されているのですが、これがちょっと調子が悪くなったため、分解整備します。


■ メーカーオプションのウインチ

 今どきの事情は知りませんが、かつてはウインチはクロカン4WDの重要なアクセサリーであり、メーカーでオプション設定されていたり、あるいはサードパーティ品を後付したりということがしばしば行われていました。我が家のサファリは、購入時にメーカーオプションのウインチを装着しました。メーカーオプションのメリットは、ウインチ込みでの設計となるため、後付感なくスッキリと装着されることです。同時にこれは欠点でもあり、ウインチがバンパー内に収まってしまうため、ワイヤーの管理やメンテ性が低下します。以前のモデルであるY60では、ウインチを取り付けるとバンパーより飛び出して露出していました。悪路でつっかえるとか、デザイン的に文句がある人は多かったみたいですが、メンテ性はとてもよいものでした。

Y61のメーカーオプションのウインチ
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Y60のメーカーオプションのウインチ
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 Y60のウインチには、エンジン動力で動作するPTOタイプと電動タイプがありました。電動ウインチは、Y61と同じでWARNのM8000が搭載されていました。自分が乗っていたY60は、PTOタイプのウインチを搭載していました。Y61は電動のみです。


■ ウインチの現状

 今の車になってからほとんど悪路を走らなくなったため、ウインチを装着してはいるものの、ほとんど使ったことはありませんでした。たまに動作確認をするくらいです。
 久しぶりに動作確認をしたところ、モーターは正常に回転し、巻取りと繰り出しはできるのですが、クラッチの動作に問題がありました。ワイヤーを巻き取るドラムにはクラッチが付いており、クラッチがつながっているとモーターでドラムが回転し、止まっている時はドラムにブレーキが掛かります。クラッチを切るとドラムはフリーで回転し、ワイヤーを人力で引っ張り出すことができます。またフリーの時にモーターを回転させても、ドラムは回りません。
 動作確認をしたところ、クラッチを切った状態でドラムがフリー回転しなくなっていました。それ以外のモーター駆動は正常でした。ウインチのクラッチを切ると、ギヤボックス内の遊星歯車の内歯車がフリー回転するようになり、これにより動力伝達が切れるのです。グリースの劣化で、この回転が死ぬほど重くなってしまったのでないかと考えました。稼働時間が短い(15年で10分くらい?)とはいっても、年数も経っているので、それなりに状態は悪くなっています。クラッチの不具合以外にも、ひどい塗装剥がれがあり、腐食も進んでいます。そこで、ウインチを分解し、整備することにしました。
 作業はショック交換と並行して行い、ショック交換の際にウインチを降ろしました。その後、バンパーまわりはウインチなしで組み立て、ウインチ整備が完了したら、再度バンパーをばらして組み込みます。

腐食したウインチ
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■ ウインチの仕様

 このウインチは日産の純正オプションですが、当時のトヨタがアイシン製を使っていたのに対して、日産はアメリカのWARN製を搭載していました。ネームバリュー的にはアイシンよりもWARNのほうが受けが良かったのは確かです。ただ、この時代(今は知らない)のWARNのウインチには、ひとつ大きな問題があります。ネジがインチなのです。この辺は、それが日本メーカーのオプションであっても変わりません。そのためウインチベッドなどはミリのボルトなのに、ウインチ本体のボルトや配線のターミナルのナットなどはインチなのです。これに気をつけないと、ボルトをなめたり、工具が抜けなくなったりする可能性があります。
 搭載されているウインチは、WARNのM8000 D1というモデルです。これは現行のM8000とは一部(特にモーター)が違います。8000は能力を示すもので、牽引力が8000ポンド(3600kg)という意味です。
 もっとも3600kg引きといってもいろいろ条件があります。ワイヤーはドラムに巻かれますが、ワイヤー巻取り量が増え、実巻取り径が大きくなると牽引力が低下します。この3600kgという力が出せるのはドラムの1層めの場合で、最外層だと3000kg以下になってしまいます。

巻取り能力の変化
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1層め 3630kg
2層め 3302kg
3層め 3206kg
4層め 2826kg



 動力源は4.8馬力程度のモーターなのですが、直流12Vでこの馬力というと、最大で450A程度の電流を必要とします。これは普通の車のオルタネーターで供給できるものではないので(せいぜい100Aがいいところ)、実質的にバッテリーの放電で動かすことになります。

負荷 速度 電流
0kg19m/S 80A
910kg 4.9m/S 200A
1810kg 3.6m/S 285A
2720kg 3.0m/S 350A
3630kg 2.4m/S 450A



 一般にバッテリーにとって最大の負荷であるスターターモーターが約100Aですが、ウインチはこの3倍以上(エンジンが止まっていたら4倍以上)の電流が必要ということです。かなり大型のバッテリーを搭載していても、最大電流だと数分しか供給できないでしょう。WARNのサイトによれば、650CCA以上(日本のJIS表記だとおそらく100以上)のバッテリーが必要となっています。CCAはCold Cranking Ampereの略で、冷間時の放電能力を示し、この値が大きいほど放電能力が高いことになります。現在使用しているのは145D31で、CCA実測値は750程度なので、一応条件は満たしています。

 次回は、ウインチの構造を解説します。
posted by masa at 15:58| 自動車整備

2018年08月05日

Y61サファリのショックアブソーバーを交換する

 Y61サファリ中期型を購入して約15年、11万キロほど走行しました。この間、一度もショックアブソーバー(以下ショック)を交換していないので、交換することにしました。ひどく抜けているという程ではないのですが、ロッドのプロテクター部分が錆びて欠落し始めたなど、まぁ、交換してもよかろうということで。


■ 新しいショック

 とにかく安いという理由で、Procomp ES3000を選びました。ちょっと上乗せすると、よりハイパフォーマンスなES9000も買えるのですが、特にこだわりはないので、一番安いやつです。ブッシュ類込みで4本で25000円、それからナットやワッシャー類を日産純正部品で新品を購入したのが3000円ほどです。
 ちなみにES9000は低圧ガスショック、ES3000は一応なんかガスは入ってるみたいですが、ほぼ大気圧、つまりただのオイルショックのようです。

Procomp ES3000
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 低圧ガスショックはガス圧によって勝手に伸びてしまいますが、オイルショックはそれほどの圧が掛かっていないので、どのポジションにしても、その位置を維持します。
 Procompの製品(代理店?)サイトによると、ES3000は低圧ガスショック(飛び出さない)、ES9000は高圧ガスショック(飛び出す)ということになっています。自分の認識では、高圧ガスショックはビルシュタインのような単筒式、複筒式は飛び出すものが低圧ガスショック、飛び出さないもの(さらに圧力が低い)はただのオイル式という認識なので、ES3000はただのオイルショックです。
 ショックは、飛び石や泥などからピストンロッドを保護するために、ロッド部を覆うようにプロテクターが備えられています。メーカー装着のショックは、鉄のパイプを使っていますが、サードパーティ品はラバーブーツも使われています。ES3000はラバーブーツタイプです(購入時に色を選べます)。固定はシリンダ側はインシュロックで、ロッド先端側は、先端に取り付けられたフランジにはめるという形です。フランジへの取り付けはちょっと甘い感じだったので、こちらもインシュロックで固定しました。
 ブーツの上下には水/空気抜き穴があり、これを塞がないような位置にブーツを固定します。このブーツ、ハイリフト用のロングストロークのものと共通なようで、標準ないし2インチアップ程度のものにはちょっと長すぎます。目一杯縮むと、押しつぶされる形で固定が甘い上側が外れるかもしれません。
 注意点として、ナットのサイズがあります。このショック、どうもインチネジのようで、ステム用のナットが約14mmなのですが、実際にはそれより何分の1mmが大きく、ツールによっては14mmだとうまくはまらないとか、きつい場合があります。


■ フロントショックの取り外し

 まずはフロントから。フロントのショックはホイールの裏側、ナックル部の付け根に取り付けられているので、ジャッキアップし、ホイールを外して作業します。今回、ウインチ整備も平行して行っているので、バンパーも外してあります。

ジャッキアップしてウマをかける
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 15年も触っていない足回りのボルトなんか、触るものではありません。とにかく緩みません。
 フロントショックは上下ともステム(ボルト)タイプで、フレームのマウント部には、ゴムブッシュを介して取り付けてあるので、そのまま回してもショックごと回ってしまいます。そのため、回り止めをしないといけません。フロントはロッド最上部の一部が平行面になるように加工されていて、ここにスパナを掛けることができます。
 サファリのフロントショックの上側は、非常に狭いところにナットがあり、ソケットレンチははいりません。オフセットのあるメガネもだめ。使えたのは、わずかに角度のついたコンビのメガネ側と、首振りタイプのラチェットメガネだけでした。
 スパナで押さえながら上側のナットをはずすのですが、、これが固い。結局、ラスペネを数回かけ、ハンマーで軽く衝撃を与えるなどして、最終的には満身の力を込めてどうにかゆるみました。ゆるめはコンビで行い、その後のナット外しはラチェットメガネを使いました。

フロントの上側のナットを、回り止めして外す
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 下側のナットは広いところにあるので、インパクトで楽勝と思っていたのですが、これまたゆるみません。インパクトは20kg・m程度のトルクは出るはずなんですけどね。下側はまた悪いことに、回り止めスパナが掛けられる構造になっていません。インパクトなら回り止めはいらないのですが、これがだめなので、どうにかしないといけません。結局、パイプなどの回り止めに使うチェーンレンチを使って押さえました。もともとオイルフィルター用に購入したものなので、そんなに大トルクに耐えられるようなものではないのですが、どうにか耐えてくれました。
 もっともインパクトでもだめだった固く締まっているナットが、チェーンレンチを手で押さえた程度緩むわけもなく、結局、チェーンレンチには魔法の杖(という名前の鉄パイプ)を突っ込み、ナット側は500mmのラチェットハンドル(昔トルクレンチだったもの)を使い、どうにか緩めました。タイロッドが干渉するのでエクステンションを使ったのですが、そのせいで変な向きの力がかかり、ショックのボルトがひん曲がっていました。

チェーンレンチ
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チェーンレンチと500mmラチェット
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魔法の杖 登場
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魔法の杖とそれに敗北した文明の利器
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取り外したフロントショック
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■ フロントショックの取り付け

 今回購入したES3000、ステムのネジ部の長さに対してブッシュの厚みが結構あり(というかネジ部が短く)、車体にセットした状態では、ボルトのネジ部がブッシュの上に出てきません。つまり、ギュッと押さえないとナットがかからないのです。ちょっとがんばってやってみたのですが、非力な自分の握力でゴムが縮むわけもく、またうまくクランプなどをかける隙間もなく、結局ブッシュをナイフで切り、ちょっと薄くしました。

フロントブッシュ
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新しいフロントショック
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■ リアショックの取り外し

 リアショックはホイールよりかなり内側に取り付けられており、上部マウントも下側からアクセスするので、ホイールを外す必要はありません。ただ、作業空間を確保するために、ジャッキアップし、フレームをちょっと持ち上げています。
 リアショックは、上下とも取付部はアイになっており、フレーム、アクスル側の取り付け軸に差し込む構造になっています。なので、その軸の先端のネジ部のナットを外せば、取り外すことができます。アクスルに取り付ける下側のナットはあっさりと緩んだのですが、上側がアクスル上部の奥のほうにあり、うまく工具がはいりません。フレーム側の取り付けボルトのちょっと先にはサスペンションスプリングの上側のマウント部があり、ソケットレンチははいりません。また右側はブレーキのLSPV(積載量によって後輪ブレーキの油圧を調整するバルブ)、左側は排気管がそばにあり、かなり狭いのです。

リアの下側
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右リア上側
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左リア上側
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 使えるのは、フロントの上側に使ったコンビかラチェットメガネだけです。しかも固く締まっています。一応、作業の1週間前にラスペネも吹いておいたのですが、だめなものはだめです。フロントで懲りたので、リアの作業を始める前に、ラスペネとは違う新しいケミカルを使ってみました。これは冷却して潤滑剤を浸透させるというものです。ボルト部を急冷することで収縮させ、錆びや固着部にクラックを発生させ、そこに潤滑剤を浸透させるというものです。

冷却潤滑剤
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取り外したリアショック
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 これを試してみたら、それなりに硬かったものの、案外簡単に緩みました。というわけで、リアに関しては、狭くて時間がかかるという点以外は、取り外しはほとんど苦労しませんでした。


■ リアの取り付け

 取り外しが楽だったのですが、取り付けに意外と苦労しました。
 まず上側から取り付けます。ツールの動く範囲が狭いので、下側をフリーにしておき、なるべく広くしておきたいからです。まずブッシュのはまったアイを軸に差し込むのですが、これがはまりません。ラバーだかウレタンなので軸径より内径がちょっと小さいのですが、とにかく場所が狭く、力がはいらないのです。結局、アイのちょっと下のロッド部にストラップをまわし、車の後ろ側から引っ張るという形で差し込みました。
 さて本締めしようというところで問題が発生。上側はアイのブッシュを両側から挟むようにワッシャーが付くのですが、これがブーツ取り付け用フランジにすごく近く、アクスルの動きによっては接触しそうです。また隙間が狭くてブーツの上側がはまりません。
 仕方がないので、干渉する部分のワッシャーを削ることにしました。せっかく取り付けたショックをまた外し、ワッシャーをグラインダーで削ります。そして干渉しないようにうまく向きを合わせながら、再度ショックを取り付けます。

ワッシャーの加工
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 ところで、ナットを締めるとき(ゆるめるときも)かなり硬いなと思っていたのですが(手で回らないくらい)、よく見たらネジの一部をカシメて変形させているロックナットでした。そういえばこのナット、再使用不可部品でした(だから新品を注文したのでした)。まぁ、何度か付け外しをしているので、再使用しているのですが。。
 下側にも問題がありました。アイのブッシュの厚みに対して軸部が長くて隙間ができ、ナットを締めてもブッシュがスライドしてしまうのです。フロントは厚すぎたのにリアは短いのかよ。。。上側の干渉といい、下側の隙間といい、全体的に純正のショックよりもマウント部が小ぶりなようです。

リア下側の取り付け軸
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隙間がある
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 この隙間をなくすために、30mmのアルミ丸棒から厚さ5mmのスペーサーを削り出し、ブッシュとアクスルの間に挟み、ちゃんとナットで圧力をかけて押さえられるようにしました。写真ではスペーサーが黒く塗られているのでわかりにくいですが、ショックのアイとマウントの間にはまっています。

アルミでスペーサーを作る
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厚さ5mmのスペーサー
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スペーサーを介して取り付け
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取り付け完了
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■ まとめ

 ショック交換は、最初の車のJeepでも、前に乗っていたY-60でもやっているのですが、どれも半日もかかりませんでした。特にY-60は今のY-61とまったく同じ構造だったのですが、新車から数年でやったので、固着がなく、比較的簡単に済みました。やっぱり錆びるとだめですねぇ。。。
 あとひとつ気になる点が。
 リアの左ショックは排気管のすぐ横なのですが、これのゴムブーツがかなり排気管に近いのです。走っている間は大丈夫でしょうが、渋滞などで止まっている間、あぶられることになります。溶けるんじゃなかろうかと。。。しかし、猛暑日の炎天下、高速の通行止めで1時間半アイドリングを続けましたが、とりあえず大丈夫でした。

ブーツと排気管
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 さて、ショックを交換した後の乗り心地の変化ですが。。。
 鈍感な自分には変化は感じられませんでした。ステージによっては差があるのかもしれませんが。。
 前のショックも抜けていた訳ではなく、ノーマルに近い味付けのものに変えたので、差があまりないのでしょう。まぁ、以前の乗り心地に不満があったわけでもないので、これでよしとします。

posted by masa at 10:55| 自動車整備

2018年06月09日

ジャッキの作動油漏れを直す


 以前、車のタイヤ交換などに使っていたSLマンモス3t(大橋産業)というフロアジャッキを最近買い替えました。これはホームセンターで普通に売っているジャッキの中で最大級のものです。
 買い替えた理由の1つは作動油が漏ることでした。漏るといっても、ジャッキが下がってくるといった症状ではなく、リリース弁を回してジャッキを下げる時に、リリース弁のところから漏るのです。
 新しいジャッキ(長崎ジャッキNSG-3)があるので、SLマンモスはほぼ引退なのですが、補助ジャッキとして使えるようにしておこうと、修理することにしました。

大橋産業 SLマンモス3t
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 降ろすためにリリース弁を回すと、その軸の付け根から漏るのですから、原因はこの部分のパッキン材の劣化でしょう。まずはこのリリース弁のネジ軸を外します。このジャッキはジャッキレバーをねじるとリリース弁が開閉される構造で、レバーとリリース弁の軸はレバー支点位置で歯車で噛み合う形になっています。
 外れ止めのボルトを外せば、くるくる回すだけで逆ネジのリリース弁軸を取り外すことができます。この時、ジャッキのラム部にあるオイル注入口に隙間をあけて、空気圧差をなくしておきます。これをやらないと、油が吹き出すことがあります。

リリース弁部分
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リリース弁軸を外したところ
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取り外したリリース弁軸
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 リリース弁軸にはOリングが組み込まれており、これで密閉しているはずなのですが、よく見ると外側がだいぶ平らになっています。たぶんこれがすり減って、漏るようになったのでしょう。
 手持ちのOリングセットの中から合うサイズのものを選び、交換します。並べてみると、新しいものが気持ち太いのがわかります。

Oリングセット
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新旧のOリング
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 リリース弁軸に組み込むと、ゴム部の張り出しが以前より明らかに大きくなっています。

新しいOリングを付けたリリース弁軸
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 リリース弁軸を組み込み、動作させてみましたが、とりあえず油漏れはなくなりました。これまでの油漏れで作動油がかなり減っているので、フィラープラグを外して油を足しておきます。今回はタービン油を使いました。何度かフルストロークさせてエア抜きして、作業終了です。ついでに、何年ぶりかで各部に注油しておきました。
 実際に車を上げてみましたが、軸重1tちょいを2輪同時に問題なく上げられます。ただこのジャッキ、3tとなっていますが、がんばって2tがいいところという感じです。

デフ玉に掛けて2輪同時ジャッキアップ
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posted by masa at 14:03| 自動車整備

2018年05月31日

中華ウインチを買ってみた


■中華ウインチを入手

 ウインチはさまざまな目的で使われていますが、その中に車載用というものがあります。車載用ウインチには、動力源がPTO(ギヤボックス経由のエンジン出力)、油圧、電動のものがあります。その中で、レジャーや簡易使用の分野で広く使われているのが電動ウインチです。クロカン系4WDや作業用車両、ボートトレーラーなどに使われます。
 もともと車載の電動ウインチはアメリカ製が主流で、国産ではアイシン製などがメーカーオプションに使われていましたが、最近は通販サイトを中心に、中国製のものが広く販売されています。値段は米国メーカー製の数分の1から1/10程度です。
 どんなもんだろうと思って、小型のものを1つ新品で買ってみました。能力は1300kg(3000ポンド)、ワイヤーは4.8mm、長さは12mです。フック、ベースプレートとローラーフェアリード、スイッチが2個ついたコントローラがセットになっています。これを7500円ほどで入手しました。


  パッケージの内容

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  ウインチ本体

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  フックとローラーフェアリード

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  コントローラー

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■消費電力

 この種のウインチは車両用なので、DC12Vで動作します(数は少ないですが、ディーゼル車用の24Vモデルもあります)。
 車載電動ウインチの大きな問題の1つは、この電源電圧の低さです。ウインチは牽引力相応のモーター出力が必要で、だいたい1馬力ないし数馬力、つまり0.75kWないし数キロワットの出力のモーターが必要です。例えば1kWのモーターを12Vで駆動する場合、効率が100%でも83Aの電流になります。なので実際には100A超の電流が流れることになり、これはおおよそスターターモーターと同程度です。スターターは数秒程度しか使いませんが、ウインチは数分程度の連続使用になります。
 今回購入したものは自称モーター出力1kWで、最大牽引時に130Aとなっています。
 より大型の3000kg以上のウインチだと3馬力程度のモーターなので、最大電流は400Aを超えます。車載のオルタネーターの余力は、普通車だとせいぜい100A程度なので、これを超える分はバッテリーからの持ち出しになります。なので、ウインチをまともに使おうと思ったら、大容量バッテリーは必須です。それでも大負荷だと数分で使用限界に達してしまい、再充電の時間が必要になります。つまり作業用などの連続使用は無理ということです。


■ぱっと見た感じ

 このクラスの製品は何種類かあり、牽引能力によってモーター出力が違うようです。しかしドラム回りの構造部材などが大きく違うようには見えません。ウインチの構成は、モーターと一体になったギヤボックスにドラムを取り付け、そのギヤボックスにL字の鉄板をネジ止めし、ドラムの反対側がその板に取り付けられた軸受で支えられます。またギヤボックスと軸受のそばに2本のステーを渡して、ドラム軸受の強度を確保しています。

  ドラムと軸受

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 しかしこの鉄板はさほど厚くなく、取り付けネジも細いし、軸受も貧弱です。これらの部材が1tを超える荷重に耐えられるようには見えません。まぁワイヤーも細いし、電線もちょっとなぁという感じです。というわけで、実用牽引力はせいぜい300kgから500kgかなと思っています。


■モーター

 前に触れたようにDC12V、出力1kWです。この出力の割には、直巻ではなくマグネットモーターです。永久磁石界磁なので、接続する電線は回転子用の2本だけで、これの極性を切り替えれば反転します。
 とりあえず仮組して運転したところ、無負荷で6A程度でした。説明書では無負荷で12Aなっていたので、それよりは少ないです。ちなみに直巻だと、無負荷でも本当に10A以上流れます。
 ブラシ側ははめ込みが硬かったので外していません。


  モーター全体

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  モーターの内部

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■コントローラー

 より大出力なウインチは、数百アンペアの電流を開閉するために、リレーボックスを使っていますが、このクラスはスイッチで直接開閉します。コントローラーからは、バッテリーに接続する2本、ウインチに接続する2本で、4本の電線が出ています。
 どちらの電線も赤と黒のペアですが、長さが違うので区別できます。どっちがバッテリーでどっちがウインチという区別はありません。しかしペアでないほうの線をバッテリーにつないでしまうと、スイッチ操作でショートしてしまいます。色を変えておくとか、ラベルつけとくとかすればいいんですけどね。電線の末端は丸型圧着端子で、モーターの端子、バッテリーの適当なターミナルにネジ止めします。
 電線の長さが短いので、手元で操作する感じになります。車載で使うには、配線を延長することになるでしょう。

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 使用されているスイッチは防水タイプ(たぶん)のプッシュ式で、内部に常開、常閉の2組の接点があり、2個のスイッチを適当に配線することで、モーター停止、正転、逆転ができます。
 使用されているスイッチは防水タイプ(たぶん)のプッシュ式で、2つのスイッチが1つのパッケージにまとめられたものです。それぞれのスイッチは双極単投タイプ、つまり押した時にオンになる接点を2組持っています。回路は以下のようになっています。

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 単純にこのような回路を組んだ場合、両方のスイッチを押すとバッテリーがショートしてしまいます。テスターで導通を調べたところ、このスイッチは、両方のスイッチを同時に押した場合は、どの接点もつながらないインターロック機構を内蔵しているようです。インターロックといっても、同時にボタンが押せないというものではなく、ボタンは押せるものの接点は接触しないという形です。
 これにより、スイッチを1つだけを押せば巻取りか繰り出しが行われ、両方を押すと動作しません。

■ドラム

 ドラムに、5mm弱のワイヤーを12m巻き取ります。ドラム径が小さく、ワイヤーは弾性があるので、無負荷時にビローンと広がってしまいます。これを防ぐために、ドラムにワイヤーを押さえつける鉄板のプレートが装備されており、ケーブルの繰り出しや巻き込みに抵抗を与え、ケーブルが暴れないようにしています。乱巻き防止にもちょっとは役立つかもしれません。


  ワイヤー押さえ

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 モーターの反対側のドラム端にはノブがついており、これを引っ張ってちょっとひねると、ドラム駆動軸がギヤから切り離され、ドラムが自由に回転するようになります。ギヤとの噛合によっては外れにくいこともあり、その場合はドラムをちょっと回すようにしてやると外れます。
 この状態ではケーブルを自由に引き出せるはずなのですが、実際にはワイヤーの弾性とかワイヤー押さえの鉄板との絡みなどで、簡単にはいきません。勢いよく引っ張り出そうとすると収拾がつかなくなります。ワイヤーが中でたるまないように、ゆっくり引き出す必要があります。
 ロックする際は、ノブ軸に刺されたピンがドラム側の溝にはまる位置までノブを回します。するとノブ軸が引っ込み、ドラム軸がギヤに噛み合います。


  結合状態

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  フリー状態

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■ギヤボックス

 試運転したところ、ギヤノイズが凄まじかったため、ばらして給脂しました。
 裏側のネジとステーのネジを外すと、モーターとL字の鉄板、ドラムが外れます。ノブを回して取り外し、ワイヤー押さえ鉄板を外せば、ドラムとL字鉄板も外せます。ドラム軸受にはかすかな油分しかありませんでした。これで1tの荷重に耐えるって、無理でしょ。。

  プレートを取り外した状態

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  ドラムを取り外した状態

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 ギヤボックスのネジとステーを外すと、ギヤボックス側の軸受プレートが外れて、内部のギヤが見えます。とはいっても、この時点ではお鍋の底のようなものが見えるだけ。中心にドラム軸が噛み合う穴が見えます。これを外すと、裏側に遊星ギヤ用の内歯車があります。その下にあるのは遊星歯車を3セット持つプラネタリキャリアです。これに申し訳程度のグリスがついていましたが、肝心の歯の部分にはほとんどわまっていませんでした。うるさいわけです。

  ギヤボックス内部の潤滑状態

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 遊星歯車は、ギヤボックスの内側にある固定内歯車に噛み合い、そして中心にはモーター軸に直接刻まれた太陽歯車があります。遊星キャリアは遊星歯車を支えるだけで、出力用の軸やギヤは備えられていません。固定内歯車の歯幅は遊星歯車の歯幅の半分で、遊星歯車の残り半分の歯幅は、ここにかぶせる出力用の内歯車に噛み合います。
 太陽歯車が回す遊星歯車が、固定内歯車と出力内歯車に噛み合っていて、遊星キャリアはどこにもつながっていないというこの歯車は、不思議遊星歯車減速機構というもので、1段で100以上の減速比が実現できるという特長があります。このウインチでは、太陽歯車が6T、遊星歯車が22T、固定内歯車が48T、出力内歯車が61Tで、減速比は153になります。


  各部品を洗浄

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  モーター軸の太陽歯車と固定内歯車

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  遊星歯車とキャリア

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  出力側内歯車

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  固定内歯車と遊星歯車

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  出力側内歯車

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  組み合わせた状態

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 実際に回転している様子を示します。無潤滑での動作は電源電圧5V、グリース潤滑されている状態は3V程度です。

  遊星歯車の回転




  出力側内歯車の回転




  グリスまみれでの回転




 不思議遊星歯車の固定内歯車と出力内歯車はピッチ円直径が同じなのに歯数が異なるので、実際には転位歯車という構造にしなければいけないのですが、これはそうなっていないようです。このギヤボックスがうるさいのは、そのへんにも理由があるかもです。
 不思議遊星歯車の構造については、以前投稿した動画があるので、それを見てください。


https://www.youtube.com/watch?v=ttfPo773HEU




http://www.nicovideo.jp/watch/sm12579213



■整備

 ほぼ無潤滑運転で凄まじくうるさいという状態をどうにかするために、グリースを給脂して組み立てました。静粛というほどではありませんが、まぁ許容範囲内のノイズに収まりました。


■使用形態

 このウインチは車載用として買ったのではなく(車にはちゃんとした3600kgの電動ウインチがついてる)、なんとなく買ったものです。差し当たって、ワイヤーなどにつないで使うポータブルウインチとして組み立てます。
 ウインチ本体、ローラーフェアリードを取り付けるベースプレートには4つのネジ穴があるのですが、ワイヤーとつなぐための構造にはなっていません。そこで鉄アングル材を使ってアイボルトを取り付けます。アイボルトにシャックルをはめれば、ワイヤーやスリング、フックをつなぐことができます。

  アングル材

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  アイボルト

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  出来上がり

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■電源

 無負荷なら数アンペアで動作しますが、実際に負荷をかけたら数十アンペアないし100Aくらい(ウインチが持つかどうかは別にして)になるでしょう。今回は、車用のバッテリーを使います。以前車に使っていたお下がりで、135Dというものです。まぁ乗用車に積むものとしてはほぼ最大級の容量のものです。古いものなので、実際にどれだけの容量が残っているかは謎ですが。
 バッテリーの端子に、ネジ止めタイプの端子をはめ、それにウインチコントローラへの配線の圧着端子をネジ止めします。本当は安全のために100A程度のヒュージブルリンクを入れるべきですが、それは今後考えます。


■実際の能力

 実際の牽引能力や耐久性は、まだ確かめてないのでわかりません。



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2017年10月15日

オルタネーターで遊ぶ その4

 前回、三相交流を整流してみたので、今回はレギュレーターを組み込んで直流出力を安定化してみます。


■普通のオルタネーターとして動かす

 オルタネーター1号は、実際に運転できる環境を作る前に分解し、配線を引き出してしまったので、普通のオルタネーターとしては動かしていません。今回、オルタネーター2号を入手したので、まずは何も手を加えず、普通の自動車用オルタネーターと同じ構成で運転してみました。
 電源として12Vシールド鉛バッテリーを接続し、オルタネーターを動かします。回路は以下のようになっています。

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 ボディアース(マイナス)とB(バッテリー)端子にバッテリーを接続します。この状態では、オルタネーターには電流は流れません。バッテリーの開放電圧は12.8V程度なので、回路の電圧も同じになります。
 ここでIG(制御端子)に+12Vを接続すると、200mAほどの電流がIG端子に流れます。これが停止状態での回転子の励磁電流となります。同時に、+12VのIG端子からL(チャージランプ)端子に接続したLEDに電流が流れ、点灯します。
 この状態でモーターを起動し、オルタネーターを回転させると発電が開始され、B端子に出力電圧が発生します。
 発電開始とともにL端子のトランジスタがOffになり、チャージランプは消灯します。チャージランプはオルタネーターが発電していないことを警告するものなので、IGがOnで停止時に点灯し、発電開始により消灯するという動作になります。
 発電電圧は、無負荷状態で約15Vでした。電圧を調整するのは、内蔵しているレギュレーターの働きです。この電圧はバッテリー端子電圧より高いので、オルタネーターからバッテリーに電流が流れ、充電が始まります。そして実際の自動車であれば、各部に電力を供給することになります。またこの状態では、回転子の励磁電流もオルタネーター自身が供給します。そのためバッテリーの端子を外しても、オルタネーターは発電を続けることができます。
 これが自動車などに搭載されたオルタネーターの標準的な動作です。

■レギュレーターを壊す

 オルタネーター1号のレギュレーターからの配線をすべて引き出した状態で実験をしていたところ、オルタネーターから電源に電流が逆流したのか、実験電源が壊れました。その際、電源の出力が30Vくらいに上昇し、どうもレギュレーターを道連れにしたようです。以後、IG端子への電圧印加で発電は開始するものの、電圧調整機能は正常に動作しなくなってしまいました。
 オルタネーター2号を導入したのはほかの実験のためだったのですが、1号レギュレーターが壊れてしまったため、レギュレーターの実験は2号のものを使うことにしました。


■オルタネーター2号の分解

 オルタネーター2号も、1号と同等の形式のもの(だと思って)購入したのですが、実際にいじってみると、メーカーや形状はほとんど同じであったものの、細部がいろいろ変わっていました。出力が45Aから50Aになっていたのですが、内部も一部変わっていました。最初につまづいたのがプーリーナットです。1号は22mmだったのに2号は24mmとなっていました。また電機子出力は、三相Y接続の3線ではなく、中性線が最初から引き出された三相4線式で、レクチファイヤの整流方式がちょっと変わっていました。

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 1号のレクチファイヤは、三相交流の3本の出力を6個のダイオードで全波整流していましたが、2号のレクチファイヤは中性線にも2個のダイオードを接続し、合計8個のダイオードで整流しています。オルタネーターではこのような構成の整流回路もしばしば使われているようです。
 実はオルタネーター2号は泥だらけで、電線のハンダ外しに手こずりました。その結果、熱でレクチファイヤの絶縁体を破損してしまい、2号レクチファイヤはボツとなりました。残念ながら、この方式の全波整流の実験はできませんでした。
 2号はほかにもレギュレーターとスリップリング回りの配線が変わっており、レギュレーターからの配線とスリップリングへの接続を簡単に切り離すことができませんでした。そこでここは切り離さないまま、電線だけを引き出しました。レギュレーターの構成そのものは、1号のものと同等のようです。
 また実験とは関係ありませんが、泥水のせいか、プーリー側ベアリングは回転がなかり重くなっていたため、新品と交換しました。

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■レギュレーターの実験

 こういった事情により、レギュレーター以外のオルタネーター1号と2号のレギュレーターを組み合わせるという、変則的な構成で実験することにしました。

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 自動車用として使う場合は、レギュレーターで出力電圧を調整します。レギュレーターの構成は製品によって異なり、また最近は燃費向上のために細かな制御が行われているので、ここで説明するものより複雑になっています。
 オルタネーターの交流出力をレクチファイヤで整流すると直流が得られますが、これは安定化されていません。回転が上がると電圧が上昇し、負荷が増えれば電圧が低下します。この電圧変動を調整し、出力電圧を一定の範囲に収めるのがレギュレーターの役割です。回路構成や省エネ機能などの違いはあるものの、出力電圧を調整する基本的な仕組み(回転子の励磁電流を調整する)は同じです。
 今回実験に使ったオルタネーターのレギュレーターは、以下の接続があります(レギュレーターICを裏から見たところ)。
(*が付いているのは、オルタネーター内部の接続で、通常は外部に出ていません)

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・グラウンド(G)
 直流出力のマイナス側が基準電位になります。レギュレーター部をオルタネーターに組み付けることで、レギュレーターのグラウンド回路がオルタネーターボディに接続されます(レギュレーター側にグラウンド用の配線や端子はありません)。実験回路ではオルタネーターボディの使っていないネジ穴(レクチファイヤ取付ネジ穴)に端子をネジ止めし、ここにグラウンド配線を接続します。

・バッテリー(B)端子
 オルタネーターの主プラス出力で、自動車のバッテリー/電装系に接続される端子です。

・励磁電力端子(Fp)*
 レクチファイヤには、電力出力用の主プラス端子とは別に、回転子励磁のために使う補助プラス端子があります。これをレギュレーター経由で回転子に接続し、励磁電力を供給します。今回の2台はどちらもこの端子を利用していますが、使わないもの(B端子からの電力を使う)もあるようです。これは内部で接続されています。

・励磁出力(F+、F-)*
 スリップリングを介して回転子に送る12Vの励磁電力です。回転子のプラス側(F+)は励磁電力端子に、マイナス側(F-)はレギュレーター内のトランジスタを経てグラウンドに落ちます。この2本の配線は内部で接続されています。

・制御電源(IG)端子(コネクタ)
 ここに12Vを加えるとレギュレーターが動作します。

・チャージランプ(L)端子(コネクタ)
 発電していない時にグラウンドに落ち、チャージランプを点灯させます。

 レギュレーターとレクチファイヤ、オルタネーターの交流発電部分は以下のように接続されます。レギュレーター内部の回路は類推したもので、この通りであると確かめたものではありません。

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■停止状態

 バッテリーは、レギュレーター/レクチファイヤのB端子とグラウンドに接続されます。IG端子はスイッチで12VがOn/Offされます。Offの状態ではレギュレーターは動作せず、電流も流れません。レクチファイヤも内部にダイオードがあるので、バッテリーからオルタネーターには電流は流れません。
 この状態でIG端子に12Vをかけると、IG−Fp(励磁電力)端子の間のダイオードを通り、F+を通して回転子に電圧がかかります。この状態で、F-(回転子マイナス)−グラウンド間のトランジスタが導通すると、回転子に電流が流れます。つまり、トランジスタの制御により、回転子の励磁電流を調整できるということです。
 IG端子からの12VはFp端子にもかかりますが、レクチファイヤの整流ダイオードにより、電流はレクチファイヤ側には流れません。
 またIG端子に12Vがかかっている間、レギュレーターは出力電圧を監視しており、発電していないと判断すると、L(ランプ)端子をトランジスタを介してグラウンドに落とします。したがって、+12Vからチャージランプをこの端子に接続しておくと点灯します。出力電圧が規定値以上になるとトランジスタがOffになり、ランプは消灯します。

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 回転子の直流抵抗は数オーム程度なので、12Vをかけると3Aから5Aくらい流れることになりますが、実際に測ってみると、そんなに電流は流れていません。テスターで測ると、停止時のIG端子電流は200mAほどでした。
 停止状態では回転子に1.6Vほどの電圧がかかっており、後述するスイッチング動作は行われていません。レギュレーター内部の構成はわかりませんが、電流制限抵抗(この場合だと50Ωほど)がはいっていると考えられます。


■回転状態

 IG端子に12Vを加えた状態でオルタネーターを回転させます。回転子には励磁電流が流れているので、電機子コイルに起電力が発生します。起電力はおおよそ励磁電流と回転数に比例するので、ある程度以上の回転数になれば、規定以上の電圧が得られます。
 発生した交流は、レクチファイヤで整流されます。レクチファイヤのFp(励磁電力)出力電圧が上昇すると、励磁回路にはレクチファイヤからの電流が流れるようになります。Fp−IG端子間にはダイオードがあるため、Fp電圧がIG電圧より高くなっても、この電力はIG端子側には逆流しません。この状態になると、IG端子に流れる電流は数ミリアンペアに減少します(わずかに流れる電流は、内部動作のためのものでしょう)。
 レクチファイヤのB(バッテリ)端子の電圧もバッテリー電圧以上になり、オルタネーターの電力で、バッテリーへの充電、そして自動車であれば、周辺回路への電力供給が始まります。
 オルタネーターの回転数が上がると、内部の交流発電機の出力電圧は高くなりますが、レギュレーターの働きにより、一定以上の電圧には上昇しません。負荷の増大により電圧降下が起きた場合も、レギュレーターの働きにより出力電圧が調整され、なるべく一定の電圧を維持するように動作します。

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 次回は、レギュレーターのさらなる詳細や、電圧制御の仕組みなどを見ていきます。



posted by masa at 12:31| 電気機械